こんにちは。薬剤師のともです。
今回は「豆乳」が健康と長寿に与える影響について、科学的研究をもとにわかりやすく解説していきます。
「豆乳は体にいい」とよく言われますが、具体的に何がどういいのか?どのくらい飲めば効果があるのか?死亡率にも関係あるのか?
その疑問に、最新の研究データを交えてお答えします。
このブログ記事でわかること
- 豆乳が心臓病や高血圧に与える科学的な影響
- 豆乳とLDLコレステロール、炎症マーカー(CRPなど)の関係
- 豆乳摂取と全死因死亡率との関連(長生きする可能性)
- どのくらいの量を、どんなふうに摂ればいいのか?(実践ガイド)
豆乳の力を侮るなかれ!心臓と血管にやさしい理由
豆乳の主成分である”大豆タンパク質”と”大豆イソフラボン”は、血圧や血中脂質に良い影響を与えることが、複数の高品質な研究で示されています。

◎ 血圧が下がるって本当?
2024年に発表された研究では、牛乳を豆乳に置き換えた18の比較試験を分析し、
- 収縮期血圧:平均8.0 mmHg低下
- 拡張期血圧:平均4.7 mmHg低下
という有意な改善効果が認められました。これは降圧薬に匹敵するレベルです。
◎ コレステロール改善効果も見逃せない
同じ研究で、LDL(悪玉)コレステロールが約0.19 mmol/L(約5〜7%)低下したという結果も。
さらに、別の分析(Sohouli et al., 2021)では、総コレステロールとLDLが有意に低下。
HDLや中性脂肪には大きな影響がなかったものの、心血管疾患の予防に繋がると評価されています。
見えない敵 “慢性炎症” にも豆乳は効く
慢性的な炎症は、動脈硬化や心疾患、糖尿病の背景に潜んでいます。
豆乳に含まれる大豆イソフラボンは抗酸化・抗炎症作用を持ち、体内の炎症マーカーを下げることが分かっています。

◎ CRPやTNF-αが下がる
分析では、
- CRP(C反応性タンパク質):約0.82 mg/L低下
- TNF-α(腫瘍壊死因子):有意な低下
これにより、血管の炎症が抑えられ、動脈硬化の進行予防に役立つと考えられます。
豆乳を飲む人は長生きする?死亡率に関する研究
では、豆乳を飲むことで「実際に長生きできる」のか? ここに答えるのが疫学調査です。
◎ 世界23研究の分析(Zhang et al., 2019)
- 対象:33万人超のデータを統合
- 結果:大豆食品の摂取が多い人は、
- がんによる死亡リスク:12%減
- 心血管疾患による死亡リスク:15%減
- 全死因死亡率:10%減
このように、大豆製品をよく摂る人は明らかに“死ににくい”という傾向が示されました。
◎ 日本人の大規模研究(JPHC研究, 2020年)
- 対象:約9万人、17年間追跡
- 結果:発酵性大豆(納豆など)で全死亡リスクが約10%減
- 非発酵大豆(豆乳や豆腐など)では有意差は限定的
ここから言えるのは、豆乳単体での死亡率改善エビデンスは「弱め」だが、大豆食品全体としては強力な健康効果があるということです。
どれくらい飲めばいいの?おすすめの摂取法
ここまで見てきたように、豆乳には心血管を守る力、炎症を抑える力があり、長生きにも関わってきそうです。
◎ イソフラボンの摂取目安
- 多くの研究で用いられているのは 40〜80mg/日程度のイソフラボン
- 豆乳200mlあたり約20〜25mgのイソフラボンが含まれます
→ 1日コップ1〜2杯(200〜400ml)程度の豆乳を目安にすると、主要な研究に準じた摂取量になります。

◎ 続けるコツ
- 無調整豆乳が基本(添加物や砂糖に注意)
- 朝のスムージーやプロテイン代わりに置き換える
- 牛乳代替としてコーヒーや料理に活用
豆乳は薬じゃない。でも毎日の積み重ねで体は変わる
豆乳は「これだけ飲めば劇的に改善する」という即効性のある食品ではありません。
しかし、今回ご紹介したように、
- 血圧を下げる
- 悪玉コレステロールを減らす
- 炎症を抑える
- 死亡率を少しでも下げる可能性がある
という科学的データは確かに存在します。
健康診断の数値が気になり始めた方、家族の病気をきっかけに生活習慣を見直したい方、何を始めるべきか迷っている方――
そんな方にこそ、「豆乳を習慣にする」ことをおすすめします。
まとめ:豆乳の健康効果、科学はこう語る
- 豆乳には心血管リスクを下げる明確なエビデンスがある
- 炎症マーカーも低下し、動脈硬化予防に役立つ
- 大豆製品全体として死亡率低下と関連している
- 1日コップ1〜2杯の豆乳習慣が、あなたの体を少しずつ変える
毎日の1杯が、10年後のあなたの健康を作ります!

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参考文献一覧
- Erlich D.R. et al. (2024). Replacing milk with soy milk reduces cardiovascular risk markers: A meta-analysis of randomized controlled trials. BMC Medicine, 22:336.
- Sohouli M.H. et al. (2021). Effects of soy milk consumption on cardiovascular risk factors: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Journal of Functional Foods, 82:104499.
- Zhang X. et al. (2019). Soy consumption and risk of all-cause and cause-specific mortality: A meta-analysis of prospective cohort studies. Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics, 120(8):1353-1366.e2.
- Katagiri R. et al. (2020). Association of fermented and nonfermented soy food intake with total and cause specific mortality: Prospective cohort study. BMJ, 368:m34.
- Man B. et al. (2021). Soy isoflavones improve arterial stiffness: A meta-analysis of randomized controlled trials. European Journal of Nutrition, 60(2):603–614.
- Mu H. et al. (2019). Soy product consumption and body weight: A meta-analysis of randomized controlled trials. Nutrients, 11(11):2790.
- Bernardo W.M. et al. (2009). Effects of isoflavone supplementation on the skin of postmenopausal women: A clinical trial. Clinics (São Paulo), 64(6):505–510.