子どもが朝食を抜くとどうなる?学力・健康との驚きの関係【研究結果あり】

子育ての科学

こんにちは、薬剤師のともです。

朝の時間、バタバタしていませんか?お弁当を作って、子どもを起こして、着替えさせて、自分の準備もして…。
そんな忙しい朝、「朝ごはん、食べたくない」「時間ないからパス」と言われた経験、きっとありますよね。

でもちょっと待ってください。

子どもが朝食を食べないことで、学力健康にどんな影響が出るか、知っていますか?

今回は、オーストラリアで実施された大規模な縦断研究(Smith et al., 2010)をもとに、
「朝食を抜く子どもたちの未来に何が起きているのか?」を、科学的に、でもやさしく解説していきます。


このブログでわかること

  • 朝食を抜く子は、成績が下がる?
  • 食べない子どもは太りやすい?
  • 行動や集中力への影響は?
  • 忙しい朝でもできる朝ごはんの工夫

朝ごはんを抜く子ども、どのくらいいる?

Smithらの研究は、オーストラリアの全国規模の調査データ(LSAC)を用いて、
8〜9歳の子どもたち2,280人を対象に行われました。

この研究では、「調査期間中に1回でも朝食を抜いた子ども」を“朝食欠食者”と定義し、
割合は10.7%にのぼりました。

つまり、10人に1人は朝食を抜いているという現実。しかもこれは小学生の話です。

「朝食を毎日しっかり食べるのが当たり前」だと思っていたら、
実はそうでもないことが、データから浮かび上がっています。

【学力】朝ごはんを食べる子は成績がいい!?

では、本題です。朝食を食べないと、学力にどのような影響があるのでしょうか?

研究では、「教師の主観的評価」と「全国統一テスト(NAPLAN)」の2つの観点から、学力を分析しました。

教師による評価(主観)

朝食を抜いた子は、以下の3つすべてで成績が悪いと評価される確率が高かったのです。

読解力  :18%

数学   :11%

総合成績 :15%

つまり、朝食を抜いた子は、先生から「できない子」と思われやすい傾向があるということ。

全国学力テスト(NAPLAN)

客観的なスコアにおいても、算数(Numeracy)だけは統計的にがありました

  • 欠食児のスコア:非欠食児より平均13点低い (統計的データ:95% CI: −25.6 〜 −0.8)

読解、文法、スペリングなどでは大きな差は見られませんでしたが、
論理的思考や計算力を問う算数で差が出るというのは、非常に興味深いポイントです。


【行動】集中力や態度には影響ある?

「朝食を食べないと、ボーッとする」「授業に集中できない」
そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。

実際、教師による教室内での行動評価では、朝食欠食との間に明確な差は見られませんでした

でもこれは、注意力や感情の微妙な変化までは拾えない可能性もあります。

むしろ保護者のほうが、「朝食を抜いた日は元気がない」「機嫌が悪い」といった
“感覚的な変化”を感じていることが多いのではないでしょうか?


【健康】朝食を抜くと太る?生活習慣に悪影響も

研究では、朝食を抜く子どもたちは以下のような傾向を示していました:

  • BMIが高い(=太りやすい)
  • 身体活動が少ない(=運動不足)
  • スクリーンタイムが長い(=ゲームやテレビの時間が多い)
  • 睡眠時間が短い

これは、朝食欠食が「孤立した問題」ではなく、
全体的な生活リズムの乱れと結びついていることを意味しています。

特に注目したいのが、肥満との関連性

朝ごはんを抜くと、昼や夜にドカ食いしやすくなり、
血糖値の乱高下を引き起こしやすくなります。
その結果、脂肪が蓄積されやすくなると考えられます。


なぜ朝ごはんがそれほど重要なの?

「たかが朝ごはん」と思われがちですが、子どもにとっては違います。

脳のエネルギー源は“ブドウ糖”

睡眠中、子どもは絶食状態。
朝起きたとき、脳はエネルギー不足になっています。

ブドウ糖が足りないと、

  • 集中力が続かない
  • イライラしやすい
  • 記憶力が落ちる

空腹は「ストレスホルモン」を増やす

朝食を抜くことで、体は「非常事態」と判断し、
コルチゾールというストレスホルモンを分泌します。

このホルモンが多いと、

  • 情緒が不安定になる
  • 学習意欲が低下する
  • 血糖値のコントロールが乱れる

忙しい朝でもできる!朝食の工夫アイデア

とはいえ、「朝は戦場」というママも多いと思います。
そんなときにおすすめしたいのが、以下の工夫です。

前夜に“仕込み”をしておく

  • おにぎりを握って冷蔵庫へ
  • スープを鍋に仕込んでおく
  • 野菜はカットしておく

ワンプレートで完結させる

  • ごはん+卵焼き+トマト
  • トースト+ヨーグルト+フルーツ

時間がない日は“飲む朝食”もOK

  • バナナ+牛乳+プロテインで簡単スムージー

「一緒に食べる」ことで習慣化

ママやパパが一緒に朝ごはんを囲むだけで、
子どもは自然と食べるようになります。


朝食は「子どもへの贈り物」

朝食は、子どもの脳と体にスイッチを入れる、
一日のスタートに必要不可欠な“燃料”です。

それは、単に栄養をとるという意味だけでなく、

  • 「今日も元気に過ごしてね」
  • 「勉強がんばってね」
  • 「あなたのことを大切に思ってるよ」

という、親からの愛情のメッセージでもあります。


まとめ:朝ごはんを通じて、子どもの未来を守ろう

Smithらの研究からわかることは、

朝食を抜くことは、成績や健康、生活習慣にわたって連鎖的な悪影響を及ぼす

という事実です。

子どもの未来を守るために、できること。
それは、今日の朝ごはんを見直すことかもしれません。

この記事が、少しでも多くのお母さんたちの参考になりますように。
それではまた、薬剤師ともでした。


参考文献

  • Smith, K. J. et al. (2010). Associations between skipping breakfast, school performance and health outcomes. BMC Public Health, 10, 605.
  • Adolphus, K. et al. (2013). The effects of breakfast on behavior and academic performance. Frontiers in Human Neuroscience, 7, 425.
  • Rampersaud, G. C. et al. (2005). Breakfast habits and academic performance. Journal of the American Dietetic Association, 105(5), 743–760.
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