こんにちは。薬剤師のともです。
今回は「非認知能力」をテーマに、科学的な視点から“子どもの未来を切り開く習い事”について詳しく解説していきます。
「うちの子、ちょっと打たれ弱いかも…」「集中力がない気がする…」
そんな悩み、ありませんか?実はこれ、学力よりも将来に影響するとされる“非認知能力”が関係しているかもしれません。
本記事では、「子どもの非認知能力を育てたい」と思う親御さんに向けて、どんな習い事が効果的かを科学的根拠と共に紹介します。
このブログ記事を読むメリット
- 「非認知能力って何?」をやさしく理解できる
- 習い事が非認知能力に与える影響を科学的に知れる
- 子どもの成長を支える習い事ランキングをチェックできる
- 習い事選びと親の関わり方のヒントが得られる
非認知能力とは?今なぜ注目されているのか
非認知能力とは、IQやテストの点数では測れない“こころの力”のこと。たとえば:
- やり抜く力(GRIT)
- 自己コントロール力
- 共感性や協調性
- 自己肯定感や社会性
こうした力は、大人になってからの「幸せ」「成功」「健康」にも深く関わることが、数々の研究でわかっています。
ノーベル賞受賞者ジェームズ・ヘックマンによると、非認知能力が高い人ほど、就職・年収・メンタルの安定度が高いとされています。つまり、非認知能力は「生きる力の土台」なのです。

非認知能力についてわかりやすく解説した記事はこちら ⇓
なぜ習い事で非認知能力が育つの?
「非認知能力って、どうやって伸ばすの?」という疑問に対して、ひとつの答えが「習い事」です。
習い事がもたらす効果:
- 子どもが主体的に努力する経験ができる
- 継続する力、あきらめない心が育つ
- 仲間との協調、感情のコントロールを学べる
- 挑戦と成功体験を積み重ねることで自己肯定感が上がる

科学的な根拠:
ペリー就学前計画(アメリカ)やDurlakらの研究では、非認知能力を高める教育や活動に参加した子どもは、
- 問題行動が減り
- 学力も向上し
- 長期的な人生満足度が高い
という結果が得られています。
つまり、良い習い事は心の力を育て、将来にわたる成長につながるということ。
科学が示す!非認知能力が育つ習い事ランキング
ここからは、科学的研究や専門家の評価をもとに、非認知能力の育成に効果が高い習い事をランキング形式で紹介します。
🥇 第1位:自然体験・アウトドア活動
森や川、野外キャンプなど、自然の中で過ごす体験は、
- レジリエンス(心のしなやかさ)
- 問題解決力
- 協調性や自立心
などを育てることがわかっています。
特にスカウト活動では「他人と協力して課題に取り組む」「失敗から学ぶ」など、非認知能力の宝庫とも言える体験が満載です。
🧠研究メモ:自然遊びの多い子どもは、自己肯定感・社会性が高い傾向があり、情緒も安定している(文科省調査)

🥈 第2位:武道(合気道・空手など)
武道は「礼に始まり礼に終わる」。この中に、
- 自己制御力(感情のコントロール)
- 我慢強さ
- 他者を尊重する心
といった力が自然と身につきます。
合気道は勝ち負けがなく、協調性を重視する点で非認知能力の育成に非常に向いています。
🧠研究メモ:11週間のテコンドー教室参加で、子どもの注意力と抑制力が有意に向上(イギリス研究)
🥉 第3位:スポーツ(特にチームスポーツ)
- 仲間と目標を共有し、協力する
- 練習を積んで試合に挑む
- 勝敗の悔しさや嬉しさを経験する
この一連の流れの中で、
- GRIT(やり抜く力)
- 社会性
- 感情調整力
が育まれます。
🧠研究メモ:中国の中学生4万人のデータで、定期的な体育活動が非認知能力を高めると報告
第4位:音楽(ピアノ・バイオリンなど)
音楽は、
- 毎日の反復練習で“努力する力”
- 発表会で“自信”と“度胸”
- 合奏で“他者との調和”
を学べる習い事。脳科学でも、楽器演奏が前頭前野(計画・判断を司る部位)を活性化させることが分かっています。
🧠研究メモ:長期的なピアノ練習でGRITが向上し、自己効力感が強まる(米国ダックワース教授)
第5位:アート・ものづくり
絵画や工作など、自由に創造する活動は、
- 創造力
- 問題解決力
- 自己表現力
を伸ばします。「自由に表現してOK」という環境は、子どもにとって“心が解放される場”でもあります。
第6位:演劇・ダンスなどのパフォーミングアーツ
- 自分の感情を表現する力
- 他者の気持ちを想像する力(共感)
- 即興対応力(柔軟な判断)
これらが自然と育ちます。
🧠研究メモ:6年間の演劇活動で、協調性・創造力・コミュニケーション力が向上(米国の大規模調査)
第7位:プログラミング・STEM系
- 試行錯誤する力
- 諦めずに取り組む姿勢
- チームで課題解決する経験
が得られる分野です。
ただし“画面に向かうだけ”ではなく、実際に手を動かすロボット制作やグループワーク型の教室を選ぶのがおすすめです。
習い事を選ぶときのポイント
1.子どもが「やりたい!」と思えるか
興味を持てることが一番大事。
親がよかれと思って選んでも、本人が楽しめなければ意味がありません。

2.プロセスをほめてくれる教室か
結果より「頑張ってきた過程」を大切にしてくれる先生や環境を選びましょう。
非認知能力は、コツコツ取り組む過程に宿ります。
3.無理に続けさせない
「嫌だな」「疲れたな」というサインには耳を傾けてOK。
ただしスランプかもしれないので、少し休む・目標を変えるなど柔軟な対応を。
家庭でも非認知能力は育てられる
習い事だけが全てではありません。
家庭でできることもたくさんあります。
- 頑張ったことに「よくやったね」と声をかける
- 感情を言葉にする手伝いをする
- 失敗しても「どうする?」と寄り添う
このような日常のやりとりが、非認知能力をじわじわと育てます。
まとめ
- 非認知能力は“生きる力”の基盤。学力以上に人生に影響する
- 習い事は、楽しみながら心の力を育てる絶好のチャンス
- 科学が証明した「伸びる習い事」をうまく活用しよう
- 習い事選びは“本人の意欲”と“環境”がカギ
子どもの可能性を広げるために、「どの習い事が良いか?」を考えることはとても有意義です。
でも、それ以上に大切なのは、子どもが夢中になって取り組む時間を見守ること。
非認知能力は、一緒に笑って、悔しがって、応援してくれる親の存在によって、ぐんと伸びていきます。

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参考文献
🔸1. Durlak, J. A., Weissberg, R. P., et al. (2011)
Title: The impact of enhancing students’ social and emotional learning: A meta-analysis of school-based universal interventions
Journal: Child Development, 82(1), 405–432
DOI: https://doi.org/10.1111/j.1467-8624.2010.01564.x
🔸2. Heckman, J. J., & Kautz, T. (2012)
Title: Hard evidence on soft skills
Journal: Labour Economics, 19(4), 451–464
DOI: https://doi.org/10.1016/j.labeco.2012.05.014
🔸3. Bowles, S., Gintis, H., & Osborne, M. (2001)
Title: The determinants of earnings: A behavioral approach
Journal: Journal of Economic Literature, 39(4), 1137–1176
🔸4. Jones, D. E., Greenberg, M., & Crowley, M. (2015)
Title: Early social-emotional functioning and public health: The relationship between kindergarten social competence and future wellness
Journal: American Journal of Public Health, 105(11), 2283–2290
DOI: https://doi.org/10.2105/AJPH.2015.302630
🔸5. Duckworth, A. L., Peterson, C., Matthews, M. D., & Kelly, D. R. (2007)
Title: Grit: Perseverance and passion for long-term goals
Journal: Journal of Personality and Social Psychology, 92(6), 1087–1101
DOI: https://doi.org/10.1037/0022-3514.92.6.1087
🔸6. Lakes, K. D., & Hoyt, W. T. (2004)
Title: Promoting self-regulation through school-based martial arts training
Journal: Journal of Applied Developmental Psychology, 25(3), 283–302
🔸7. 文部科学省(2022)
タイトル:「子どもの体験活動等の実態調査」報告書
URL: https://www.mext.go.jp/
🔸8. OECD (2015)
Title: Skills for Social Progress: The Power of Social and Emotional Skills
Publisher: OECD Publishing
DOI: https://doi.org/10.1787/9789264226159-en
🔸10. Allen, J. P., & Allen, C. W. (2020)
Title: Escaping the endless adolescence: How we can help our teenagers grow up before they grow old
Publisher: Ballantine Books