睡眠音楽が効果的な理由を論文から薬剤師が解説!正しく知らないと逆に危険です!

健康の科学

こんにちは。薬剤師のともです。

今回は「睡眠音楽」について話したいと思います。
というのも、僕も躁うつがひどかったころ、音楽に助けられてその効果を実感したからです。

眠れない夜の長さは、経験した人にしかわからない辛さがありますよね。
そんな時、音楽は必ず力になってくれるはずです。

当時の僕も睡眠導入に音楽を活用していましたし、効果を実感しました。
しかし実は正しく使わないと逆効果になることも論文で明らかになっています。

この記事では、「音楽が睡眠にどんな影響を与えるのか」を、科学的根拠をもとに詳しく、やさしく解説していきます。

このブログ記事でわかること

  • 音楽が睡眠に与える科学的な影響とメカニズム
  • 効果があると証明された「睡眠音楽」の具体的な特徴
  • 間違った聴き方がもたらす“逆効果”のリスクとは?
  • 今日からできる音楽を活用した正しい睡眠習慣のつくり方

音楽が睡眠に与える影響とは?

「音楽で眠れるようになる」――2020年代以降の研究では、音楽には睡眠を改善する作用があることが、複数の研究によって明らかになっています。

◎睡眠障害に悩む人は増えている

厚生労働省の調査によると、日本人の5人に1人が「睡眠に問題を感じている」と答えています。
特にストレスや精神的な不調と関係する不眠は増加傾向にあり、軽視できません

◎音楽は“非薬物療法”として有望

薬に頼らずに眠れる方法として注目されているのが、「音楽療法(music therapy)」や「自己導入型音楽介入(self-administered music intervention)」です。

論文:Jesperson et al.(2022)によるレビューでは、精神疾患をもつ成人において、音楽が睡眠の質を有意に改善することが報告されました。

その作用は、単なる「気休め」ではありません。
心拍数の低下、脳波の変化、ストレスホルモンの減少など、生理的変化を伴う“本物の効果”があるんです。

なぜ音楽で眠れるのか?メカニズムを解説

睡眠を科学的に改善するというからには、きちんとしたメカニズムがあります。

◎副交感神経が優位になる

リラックス系の音楽を聴くことで、交感神経(興奮モード)よりも副交感神経(休息モード)が優位になります。
これは入眠にとって非常に重要なポイントです。

音楽には、心拍をゆっくりにする作用があります。これにより、血圧も下がり、眠気を感じやすくなるんです。

◎脳波(アルファ波・シータ波)の調整

特定の音楽は、アルファ波(リラックス状態)やシータ波(浅い眠りに近い状態)を誘導することがわかっています。
とくにテンポが遅く、繰り返しパターンのある音楽は、脳を「休息モード」に導いてくれます

どんな音楽が効果的?睡眠用音楽の条件とは

「じゃあ、どんな曲を聴けばいいの?」と思う方も多いはず。

実は、睡眠に効果的な音楽には共通点があります。

◎睡眠音楽の特徴

  • テンポ:60~80拍/分のゆったりしたテンポ
  • 音色:柔らかくて丸い(ピアノ・弦楽器・環境音
  • 歌詞:基本的に“なし”がおすすめ(脳が言語処理で覚醒してしまうため)
  • 構成:シンプルで反復的なメロディ

◎おすすめジャンル

  • クラシック(例:ドビュッシー、サティなど)
  • アンビエント(環境音楽)
  • 自然音ミックス(波の音、森の音、雨音など)

僕は好きなゲーム音楽のピアノアレンジをかけていました。
30分程度で眠れる鉄版の「入眠用の再生リスト」として肌身離さず聞いていました。

睡眠音楽の正しい使い方

音楽で眠りたいなら、ただ流せばいいというものではありません。

◎聴き方のコツ

  • 時間帯: 就寝の30分前から再生を開始
  • デバイス: スピーカー推奨。イヤホンやヘッドホンは寝返りを妨げることも
  • 音量: 小さめが基本(話し声より小さい程度
  • 照明: できれば間接照明か、暗くして聴く

◎習慣化がカギ

1回の音楽で劇的に眠れるわけではありません。
研究でも「4週間以上の継続聴取」が効果的だったという報告が多いです。

論文:Frontiers誌(2024)の研究では、4週間にわたる睡眠音楽の習慣化で、PSQI(睡眠の質指標)が有意に改善されました。


こんな音楽は逆効果かも?注意点をチェック!

◎歌詞がある音楽

好きなアーティストの曲を寝る前に聴くのは「癒し」かもしれませんが、脳が“言語モード”になってしまい、かえって覚醒することも

◎テンポが速い・刺激的な楽曲

テンポが速い・ビートが強い・高音が強調されるような音楽は、交感神経を刺激して眠気を遠ざけます

◎ヘッドホンで長時間聴く

耳や側頭部への圧迫、コードの絡まりなどから、逆に寝つきが悪くなることもあります。耳の疲労感や圧迫感にも注意が必要です。


まとめ——音楽は“眠りの処方箋”になる

音楽には、「リラックス」「脳波の調整」「ホルモン調整」など複数のルートから睡眠をサポートする力があります。

でも大事なのは、“音楽ならなんでもいい”というわけじゃないこと。

睡眠に適した音楽を選び、正しいタイミングと方法で使うことで、薬に頼らず自然な眠りを取り戻すことができるかもしれません。

音楽は、あなたの眠りに寄り添う“優しい薬”になれるんです。


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🔖参考文献

  1. Jesperson, K. V., Koenig, J., Jennum, P., & Vuust, P. (2022). Music for insomnia in adults with mental disorders: A systematic review. Journal of Psychiatric Research, 150, 223–232.
  2. Chan, M. F., Chan, E. A., Mok, E., et al. (2023). The effects of music intervention on sleep quality in adults: A systematic review and meta-analysis. Complementary Therapies in Medicine, 73, 102901.
  3. Fancourt, D., Aufegger, L., & Williamon, A. (2015). Low-stress and high-stress singing have contrasting effects on glucocorticoid response. Frontiers in Psychology, 6, 1242.
  4. Tamminen, L. M., & Eerola, T. (2021). Songs for sleeping: a content analysis of sleep-related music on YouTube. PLOS ONE, 16(10), e0257944.
  5. Frontiers in Psychology (2024). Self-administered sleep music intervention study.
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