こんにちは、薬剤師のともです。
「肌の乾燥がひどいけど、子どもの世話でスキンケアに時間がかけられない…」
「化粧ノリが悪くて一日中気分が上がらない…」
そんな悩みを抱えていませんか?
実は、スキンケアの前に見直すべきなのが“水分補給”かもしれません。
最新の研究では、「水をしっかり飲むこと」が肌のうるおいに直接的な影響を与えることが明らかになってきています。
この記事では、Contiらの2013年の研究をもとに、「飲む水」と「肌のうるおい」の関係についてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 水を飲むことが肌の水分量や柔らかさにどう影響するのか
- 乾燥肌の人に特に効果があった“飲水”の量と方法
- 表面だけの保湿では不十分?バリア機能との関係性
- 日常生活で無理なく取り入れられる「内側からの保湿」習慣
乾燥肌の原因は、実は“内側の水不足”?

肌の乾燥と聞くと、保湿クリームや化粧水を塗ることをまず思い浮かべますよね。
もちろん外側からの保湿も重要ですが、近年注目されているのが「体内の水分バランス」との関係です。
Contiらの研究では、ふだんの水分摂取量が少ない人は、肌の水分保持力が明らかに低いことが示されました。
さらに、意識して水を多めに飲むことで、肌の水分量が改善されることもわかっています。
つまり、乾燥肌の原因のひとつは、「そもそも水をあまり飲んでいない」ことかもしれないのです。
「1日〇リットルの水」で肌が変わる?Contiらの実験とは
Contiら(2013)は、健康な若年女性49人を対象に、30日間にわたり水の摂取と肌の変化を調べました。
参加者は日常の食事・飲料からの水分摂取量によって2グループに分けられました。
- グループA:普段の水分摂取量が少ない人(約3200ml未満)
- グループB:もともと水をよく飲んでいる人(約3200ml以上)
そのうえで両グループに、「追加で毎日2リットルの水を飲んでもらう」実験を実施。
結果:
- グループAでは、表皮の水分量が大きく改善
- 肌の柔らかさや弾力性も向上
一方、もともとよく水を飲んでいたグループBでは、それほど大きな変化は見られませんでした。
つまり、「水分が足りていない人にとっては、水を多めに飲むだけで、肌の状態が大きく改善される可能性がある」ことが明らかになったのです。

水でうるおい、でもバリア機能は…?
もうひとつ重要なポイントがあります。
水を飲めば肌の水分量が増えることは確認されましたが、Contiらの研究では、
「水を飲んでも、皮膚のバリア機能(=外部刺激から守る力)には大きな変化が見られなかった」という点も明らかになっています。
つまり、肌の“しっとり感”や“柔らかさ”は改善しても、アレルゲンや雑菌から肌を守る機能(バリア機能)には、水を飲むだけでは足りないということです。
そのため、
- 内側(飲水)からのうるおい対策と、
- 外側(スキンケア)からのバリアケア
この2つを同時に行うことが、健やかな肌を保つ鍵になると考えられます。

子育て中でもできる「内側からの保湿習慣」
「でも、毎日2リットルも水を飲むなんて無理…」という声も多いですよね。
そこで、子育て中でも無理なく取り入れられる“飲水習慣”の工夫を紹介します。
◎タイミングを決める
- 朝起きてすぐ、コップ1杯
- 授乳や家事の合間に1杯
- 食事中に1杯
- 夕食後や入浴前後にも1杯
こうして意識的に4〜5回のタイミングを作るだけで、1日1.5〜2リットルは自然と摂れるようになります。
◎コーヒーやジュースではなく、基本は「水」または「白湯」
カフェイン飲料は利尿作用があり、体内の水分を排出してしまうことも。
「肌のために飲む水」は、なるべく純水か白湯がおすすめです。
まとめ:乾燥肌は“飲んでケア”する時代へ
肌が乾燥するたびに保湿剤を変えるよりも、まずは「飲む水」の量を見直してみませんか?
Contiらの研究は、肌の状態と水分摂取量が明確に関係していることを示した貴重なエビデンスです。
特に、ふだんあまり水を飲まない方にとっては、「飲むだけ」で肌のうるおいが改善される可能性が高いことがわかっています。
もちろん、バリア機能を高めるにはスキンケアも大切ですが、
- 肌の柔らかさ
- 水分保持力
を高める“インナー保湿”の習慣、今日からぜひ取り入れてみてくださいね。

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参考文献
Conti A, Schiavo A, Pepe P, Morrone A, De Padova MP. Effect of fluid intake on skin physiology: distinct differences between skin hydration and barrier function. Skin Res Technol. 2013;19(1):42-47. doi:10.1111/j.1600-0846.2012.00635.x