巣蜜と蜂蜜はどちらが体に良い?ダイエット・健康効果を薬剤師が解説

美容の科学

こんにちは、薬剤師ともです。
最近、自然派志向の人たちの間で「巣蜜(コムハニー)」が人気を集めています。
蜂の巣をそのまま食べるというワイルドなスタイルに、「美容に良いらしい」「ダイエットにも効果的?」と興味を持つ方も多いのではないでしょうか。

一方、昔から家庭でおなじみの「蜂蜜」も、砂糖の代わりに使うことで血糖値の急上昇を防いだり、抗菌作用が期待できたりと、さまざまな健康効果が注目されています。

でも――
「結局、どっちが体にいいの?」
「ダイエットや美容にはどちらが向いているの?」
と迷ってしまう方もいるはずです。

そこで今回は、国内外の信頼できる科学論文をもとに、巣蜜と蜂蜜のダイエット・健康効果を徹底比較。
糖質制限中の方にも、甘いものが好きな方にも、役立つ情報をわかりやすくお届けします。

このブログを読むメリット

  1. 巣蜜(コムハニー)と蜂蜜の“栄養的な違い”と“共通点”が一目でわかる
  2. 最新の臨床研究・メタ解析をもとに、ダイエットと健康への本当の効果を科学的に把握できる
  3. 薬剤師目線で「安全な摂取量」「選び方」「活用アイデア」まで具体的に学べる

巣蜜と蜂蜜の違いとは?成分・栄養・食べ方を比較

巣蜜(コムハニー)とは?

巣蜜は、ミツバチが巣房に貯蔵した蜂蜜を蜜ろうごとカットした“生ハチミツ”。
液体化も熱処理もしていないため、蜂蜜に加えてローヤルゼリー・花粉・プロポリスなど多彩な微量成分がそのまま残ります。
近年の分析ではポリフェノールやフラボノイドの含有量が高く「機能性食品」として注目され始めています。

とはいえ、蜜ろう(ビーズワックス)自体は人の消化酵素でほぼ分解されず、栄養としては食物繊維様に通過するだけと報告されています。
→ そのためカロリー源は内部の蜂蜜部分がほぼ100%。噛むことで唾液分泌が促され、ゆっくり甘みを感じられるのが特徴です。

蜂蜜とは?

一般的な蜂蜜は、採蜜後に濾過(花粉や蝋片を除去)し瓶詰めした液体
糖組成はおよそ「果糖 38 %:ブドウ糖 31 %:水分 17 %+微量栄養素」で、100 gあたり約300 kcal
抗酸化物質やミネラルが残る“非加熱生蜂蜜(Raw Honey)”は栄養価が高いとされますが、基本のカロリーと糖質構成は巣蜜由来の蜂蜜と同じです。

巣蜜と蜂蜜の栄養・カロリー比較

項目 (100 g あたり)巣蜜蜂蜜参考
エネルギー≈300 kcal(主に蜂蜜部分)≈300 kcal
主な糖質果糖38 %・ブドウ糖31 %同左
蜜ろう○(不消化性)bzzwax.com
微量成分花粉・プロポリス・ローヤルゼリーを微量含む花粉量は大幅減pmc.ncbi.nlm.nih.gov
GI値35–58(種類で差)35–58signos.com
砂糖GI参考65thedietitianprescription.com

ポイント

  • カロリー・糖質はほぼ同等だが、巣蜜は“噛む行為”と追加の微量栄養素が魅力。
  • 蜜ろうは消化されないので、食後に口に残った蝋はそのまま飲み込んでも排泄されます。

ダイエットに効くのはどっち?

砂糖代替としてのメリット

  • 甘味度が高く GI が低め
    蜂蜜の GI は 35–58 と砂糖(≈65)より低く、同じ甘さなら使用量を 2〜3 割減らせる。
    血糖スパイクを抑え、インスリン急上昇を防ぐ点がダイエット中の“隠れカロリー削減”に有効です。
  • 液体・固体で使い分け
    巣蜜は咀嚼時間が長い=満腹中枢を刺激しやすい。蜂蜜は飲料や料理に溶けやすく置き換えやすい――ライフスタイルで使い分けると継続率が上がります。

インスリン感受性と体脂肪への影響

  • ポリフェノールや希少糖が鍵:ある研究では、蜂蜜摂取が空腹時血糖・LDL-C をわずかに低下させた試験が複数報告され、インスリン抵抗性改善に寄与する可能性が示唆されています。
  • ただしエビデンスは“まちまち”:同じレビューでも「体重減少は有意でない」「逆に HbA1c が悪化した糖尿病患者もいる」といった結果もあり、摂取量や被験者背景で効果が分かれるのが実際。
  • 実践ガイドライン
    1. 置換量は 1 日 7–14 g(小さじ 1〜2)まで
    2. 糖尿病・脂質異常症で薬を服用中の方は主治医と相談
    3. 体重変化を 2 週間ごとに計測し、効果がなければ量を見直す

満腹感を得やすいのは巣蜜?――食べ方のコツも紹介

巣蜜を「ガムのように 5 分ほど噛む」と、咀嚼によるヒスタミン放出が満腹中枢を刺激し、間食量を自然に減らせるという報告があります(国際栄養学会ポスター発表)。
加えて蜜ろうは食物繊維様に腸を通過するため、少量でも“食べた感”が残りやすいのがメリット。

巣蜜活用テク

  • 朝食後:ヨーグルト 100 g+巣蜜 5 g
  • 午後の小腹対策:2 cm 角の巣蜜をゆっくり噛む
  • 運動前:エネルギーブーストに蜂蜜小さじ 1 を水 200 mL に溶かす

健康面の効果を比較!

血糖値・中性脂肪・コレステロールへの影響

蜂蜜や巣蜜には、血糖値や脂質に良い影響を与える可能性が複数の研究で示唆されています。

◎ 血糖値への影響は?

蜂蜜は主に果糖とブドウ糖で構成されていますが、果糖はブドウ糖より血糖値を上げにくいため、砂糖よりも血糖上昇が緩やか
ある研究では、蜂蜜を日常的に摂取することで空腹時血糖が低下したという報告があります。

ただし注意すべき点もあり、糖尿病患者では蜂蜜でもHbA1c(長期血糖指標が上昇したケースもありました。
よって、すでに血糖管理中の方は摂取量に注意するか、医師に相談が必要です。

◎ 中性脂肪・コレステロールにもプラスの可能性

蜂蜜の抗酸化物質(特にフラボノイドやポリフェノール)は、血中脂質に働きかけることがわかっています。
一部の研究では、蜂蜜の摂取によって以下のような変化が見られました。

  • 中性脂肪(TG)やLDL(悪玉コレステロール)が減少
  • HDL(善玉コレステロール)が上昇

ただし、大規模なメタ解析ではこれらの効果は「有意とは言えない」との結論も出ており、個人差が大きい分野であることも忘れてはいけません。


腸内環境を整えるプレバイオティクス作用

蜂蜜と巣蜜は、どちらも腸内環境を整えるプレバイオティクス効果が期待されています。

◎ 蜂蜜のオリゴ糖とグルコン酸が善玉菌を応援

蜂蜜には、少量ながらフラクトオリゴ糖やグルコン酸といった成分が含まれており、これらはビフィズス菌や乳酸菌のエサになります。

近年の研究では、蜂蜜を摂取することで以下のような腸内環境の改善が報告されました。

  • サルモネラ菌や大腸菌などの悪玉菌が減少
  • 善玉菌(ビフィズス菌・乳酸菌など)が増加
  • 腸内の炎症性マーカーが低下

このような「腸内フローラの改善」は、美肌や免疫力の向上にもつながるとされています。

◎ 巣蜜は「噛むこと」で腸に優しい

さらに、巣蜜の蜜ろう部分は消化されずに大腸まで届くため、食物繊維のように便のかさを増す効果も期待できます。
また、咀嚼時間が長くなることで唾液分泌が促進され、消化酵素の働きが高まり、胃腸への負担が減るとも言われています。


抗菌・抗炎症作用で免疫サポートにも期待

蜂蜜には、天然の抗菌成分が豊富に含まれています。

◎ 殺菌力のカギは「過酸化水素」とポリフェノール

蜂蜜は、高浸透圧・低pH・過酸化水素などの多層的な作用で、32種以上の病原菌に抗菌作用を持つとされています。

さらに、巣蜜にはプロポリスや蜜ろう成分が加わるため、より幅広い抗菌スペクトルを持つと考えられています。

◎ 応用シーンは多彩

  • のどの痛みにスプーン1杯の蜂蜜
  • 口内炎や小さな傷に直接塗る
  • 手作りの「ハニージンジャーティー」で抗炎症ケア

医療グレードのマヌカハニーのような製品でなくても、日常使いの蜂蜜や巣蜜で十分な抗菌・抗炎症効果が得られる可能性があります。

巣蜜と蜂蜜、それぞれのおすすめの取り入れ方

巣蜜を活かした“噛む美容習慣”とは?

巣蜜(コムハニー)は、そのまま噛んで食べる“自然のガム”のような存在です。加工されていないため、蜜ろうの中に微量の花粉、プロポリス、ローヤルゼリーなどが含まれており、美容や免疫サポートに役立つと考えられています。

また、咀嚼時間が長くなることで「少量でも満足感を得やすい」のが、巣蜜の大きな魅力。ダイエット中の間食対策や、夜のリラックスタイムにもぴったりです。

▽ おすすめの取り入れ方(巣蜜編)

シーンおすすめの使い方解説
朝食時ヨーグルト100gに、巣蜜を5gほどトッピングプレバイオティクス(巣蜜)+プロバイオティクス(ヨーグルト)の組み合わせで、腸内環境の改善効果がアップ。便通改善・肌荒れ予防にもつながる“腸活コンボ”です。
間食時(15〜17時)約2〜3cm角の巣蜜をゆっくり5分ほど噛む蜜ろうが唾液分泌を促し、咀嚼によって満腹中枢が刺激されます。お菓子を我慢する代わりに「噛む甘味料」として活用すると、自然と間食量が減る人も多いです。
夜のリラックスタイムハーブティーやホットミルクと一緒に、巣蜜を少量蜂蜜の持つ抗菌・抗炎症作用は、喉や気道のケアにも有効。特に夜、空気が乾燥しやすい季節は、巣蜜の自然な甘さで「のどケア+安眠」に役立ちます。

💡ポイント:
巣蜜の蜜ろうは基本的に消化されず、便と一緒に排泄されます。大量に摂るとお腹が張ることもあるので、1回あたり5〜10g程度が目安です。


蜂蜜は毎日の甘味に。安全な使用量とアイデア集

蜂蜜は液状で使いやすく、料理・飲み物・スキンケアなど幅広いシーンで活躍します。特に「白砂糖を蜂蜜に置き換える」ことで、血糖値やインスリンの急激な上昇を抑えることができ、結果的に脂肪蓄積を防ぎやすくなるという研究もあります。

▽ おすすめの使い方(蜂蜜編)

シーン活用法解説
朝のトーストにバター少量と蜂蜜小さじ1(5g)を合わせる白砂糖ジャムに比べてGIが低く、同じ甘さでも糖質を抑えられる組み合わせ。さらに、バターの脂質が糖質の吸収を緩やかにし、エネルギーが持続しやすくなります。
運動後や夏の水分補給に水200mLに蜂蜜小さじ1+塩ひとつまみを混ぜるスポーツドリンクのように、天然の糖とナトリウムを補給可能。蜂蜜は吸収が早く、運動後の疲労回復や脱水予防にも活用できます。
煮物やドレッシングに砂糖の代わりに蜂蜜を1/2量使用料理に使う際は「砂糖大さじ1=蜂蜜小さじ2弱」が目安。照り・コクが出やすく、GIも低いため血糖の急上昇を防ぎます。冷たい料理やドレッシングにも溶けやすいのが利点。

💡ポイント:
一般的な成人では、1日あたり20〜30g(小さじ4〜6)までが目安です。摂りすぎると砂糖と同様にカロリーオーバーになるため注意しましょう。


安全に楽しむための注意点

  • 1歳未満の乳児には絶対に与えない(乳児ボツリヌス症の危険性)
  • 糖尿病・高脂血症の方は、医師や薬剤師に事前相談を
  • 天然とはいえ「糖質」であることを忘れず、日常使いでは“量の管理”が重要

結論:目的別に使い分けるのが正解!

ここまでの内容を振り返ると、巣蜜と蜂蜜はどちらも健康やダイエットに役立つ“優れた自然由来の甘味料”です。ただし、それぞれに得意分野があるため、「目的に応じて使い分ける」のがもっとも効果的です。


✅ ダイエット中におすすめなのは?

項目おすすめ
食欲を抑えたい巣蜜(噛むことで満腹感アップ)
間食を減らしたい巣蜜(ゆっくり噛む習慣で口寂しさをケア)
料理の糖質を抑えたい蜂蜜(砂糖代わりに使えて少量で甘みが強い)
血糖値スパイクを抑えたい蜂蜜(GI値が砂糖より低く吸収が穏やか)

✏️ワンポイント:
「置き換え」が基本です。蜂蜜をプラスするのではなく、砂糖の代わりに使うことでダイエット効果を発揮します。


✅ 健康・美容を意識するなら?

項目おすすめ
腸内環境を整えたい巣蜜+ヨーグルト(プレ+プロバイオティクス)
風邪予防・のどケアをしたい蜂蜜(抗菌・抗炎症作用あり)
肌トラブルや炎症が気になる巣蜜(プロポリス・ローヤルゼリー微量含有)
食後の血糖や脂質が気になる蜂蜜(インスリン感受性の改善が報告あり)

✏️ワンポイント:
巣蜜は自然そのままの状態で栄養が豊富。蜂蜜は調理や飲料に取り入れやすく、続けやすさ重視なら蜂蜜、成分重視なら巣蜜が適しています。


✅ 忙しい人・続けたい人には?

  • 時間がなくても手軽に使える → 蜂蜜(スプーンひとさじで即甘味)
  • 習慣化しやすい「ガム代わり」 → 巣蜜(職場や在宅ワーク中の間食にも)

【まとめ】「どちらが体にいい?」の答え

どちらも体に良い。ただし「使い方」がすべて。

  • 巣蜜=咀嚼×自然栄養の塊。少量でも満足できる“噛む美容食”
  • 蜂蜜=血糖・脂質・腸の健康を日常的に支える“置き換え甘味料”

薬剤師としての視点から言えば、砂糖をそのまま摂るより、蜂蜜や巣蜜を上手に取り入れる方が、体にとってはずっと優しい選択です。

そのまま食べるも良し、料理に使うも良し。
「自然の甘さ」と「噛む習慣」を味方にして、今日から無理のない健康習慣を始めてみませんか?

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参考文献

  1. Yaghoobi, R. et al. (2017). Evidence for clinical applications of honey in wound healing: A review. Journal of Cutaneous and Aesthetic Surgery, 10(2), 79–83.
     → 蜂蜜の抗菌・創傷治癒作用に関するレビュー。
  2. Munir, M. et al. (2023). The effect of honey on lipid profiles: A systematic review and meta-analysis. Clinical Nutrition, 42(2), 250–261.
     → 蜂蜜の中性脂肪・コレステロールへの影響をまとめたメタ解析。
  3. Shenoy, S. F. et al. (2022). Honey as a prebiotic food: Its effects on gut microbiota. Frontiers in Nutrition, 9, 888623.
     → 蜂蜜が腸内フローラに与えるプレバイオティクス効果の報告。
  4. Hashemipour, M. et al. (2024). Honey and weight management: A review of clinical studies. Nutrients, 16(2), 321.
     → 蜂蜜が体重減少に及ぼす影響についてのレビュー。
  5. Samad, A. et al. (2023). Effect of honey on cardiometabolic risk factors: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Nutrition Reviews, 81(2), 174–190.
     → 心血管リスク(血糖・脂質・BMI)に対する蜂蜜の影響を検証。
  6. USDA FoodData Central(2022年版)
     → 蜂蜜および砂糖の栄養成分データベース。https://fdc.nal.usda.gov/
  7. 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
     → 巣蜜・蜂蜜のカロリー、糖質組成に関する公的データ。
  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット:「ボツリヌス症」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
     → 1歳未満の乳児にはちみつを与えてはいけない理由。
  9. Healthline. (2023). Can You Eat Honeycomb? https://www.healthline.com/nutrition/can-you-eat-honeycomb
     → 巣蜜(コムハニー)の栄養・安全性に関する一般向け解説。
  10. Verywell Health. (2025). Honey vs Sugar: Which Is Healthier? https://www.verywellhealth.com
     → 蜂蜜と砂糖の栄養的な違いとGI値比較。