間違うと酸化ダメージが!ヘアオイルとヘアアイロンの順番について

美容の科学

こんにちは、薬剤師のともです。今回は、日々のヘアケアでよくある疑問「ヘアオイルはアイロンの前?それとも後?」というテーマを、科学的な根拠に基づいて徹底解説します。

美容に敏感な方こそ、間違った順番で髪を傷めてしまっているケースが少なくありません。
この記事では、「オイルで髪が揚がる?」「発煙点って何?」「ヒートプロテクトって本当に効くの?」といった素朴な疑問にも丁寧にお答えします。


このブログ記事でわかること

  1. ヘアオイルとヘアアイロン、正しい使用順序とその科学的理由
  2. 間違った使い方で起こる“酸化ダメージ”のメカニズム
  3. アイロン前に使っても安全な「ヒートプロテクト処方」とは?
  4. 美髪を守るためのおすすめオイルの選び方と使い方

そもそもヘアオイルとは?役割と種類

ヘアオイルは、髪の毛にツヤを与えたり、摩擦や熱から守ったりする目的で使われる油性のヘアケア製品です。含まれる成分によって性質が異なり、大きく以下のように分けられます。

  • 天然オイル系:アルガンオイル、椿油、ホホバオイル、ココナッツオイルなど
  • シリコン系:ジメチコン、シクロペンタシロキサンなど

天然オイルは髪に自然なツヤや栄養を与えますが、熱への耐性が低いものが多く、アイロン前に使うと逆効果になりやすいのです。


「ヘアオイル→アイロン」がNGな理由:揚げ物現象!?

● 髪が“揚がる”ってどういうこと?

私たちが食用油で天ぷらを揚げるとき、180~200℃に加熱しますよね?実は、市販のヘアアイロンの温度も180~200℃が標準

つまり、オイルを髪につけたままその高温でアイロンをかけると、髪の表面でオイルが熱分解を起こし、“酸化”や“焦げ”が起こるリスクがあるのです。

● 科学的な裏付け:発煙点と酸化ダメージ

Rahman et al., 2014, “Thermal degradation of oils: a comparative study” によれば、植物性オイルは180~220℃で酸化・分解が始まり、有害な過酸化物やアルデヒドを生成すると報告されています。

髪のタンパク質(ケラチン)は熱や酸化に弱く、こうした酸化副産物によって構造が変性し、パサつき・切れ毛・ツヤの低下につながるのです。

● 各オイルの発煙点一覧(目安)

オイル名発煙点(℃)
ホホバオイル約195℃
アルガンオイル約215℃
ココナッツオイル約175℃
椿油(カメリア)約250℃

アイロン温度と重なる危険域のオイルが多い!


正解は「ヘアアイロン → ヘアオイル」

アイロン後にオイルを塗ることで、以下のようなメリットがあります:

  • 熱でダメージを受けたキューティクルを保湿・保護
  • 髪表面をコーティングしてツヤを出す
  • 湿気や紫外線、摩擦から守る

つまり、オイルは“仕上げ”として使うのが基本です。髪の形を整えた後に、少量を毛先中心に伸ばすことで、理想的なまとまりと輝きを得られます。


例外:ヒートプロテクト成分入りならアイロン前もOK!

近年では、熱ダメージを抑えるために「ヒートプロテクト成分」を配合した製品も増えてきました。

代表的な成分には:

  • ジメチコン(熱から守るコーティング剤)
  • ヒドロキシプロピル加水分解シルク(熱保護タンパク質)
  • ポリクオタニウム系ポリマー(熱反応性フィルム)

こうした処方の製品は、「アイロン前使用可」と明記されていることが多く、公式に推奨された順番なら問題ありません


正しく使う!ヘアオイル&アイロンの黄金ルール

【ステップ①】髪をしっかり乾かす

水分が残っていると内部が蒸気爆発し、キューティクルが破損します

【ステップ②】必要ならヒートプロテクトオイルを塗布

使用する製品が「耐熱処方」のものであることを確認しましょう。

【ステップ③】アイロンでスタイリング

180℃以下に設定すると、タンパク質変性リスクを抑えられます。

【ステップ④】ヘアオイルで仕上げ&保湿

毛先を中心に、1~2滴ずつ手のひらにのばして塗布。根元にはつけすぎないよう注意。


どんな人にこの知識が役立つ?

  • 髪のパサつきやダメージが気になる方
  • 朝のスタイリングがまとまりにくい方
  • 熱ダメージでカラーの持ちが悪い方
  • 美容院でトリートメントしてもすぐ戻ってしまう方

これらは順番を変えるだけで改善する可能性が高いです。


まとめ:ヘアオイルとヘアアイロン、科学的に正しい順番で美髪を守ろう

髪のケアは毎日の積み重ねが大切です。「オイル→アイロン」の順番は一見正しそうに思えても、科学的には“逆”が正解

アイロン後のケアとしてオイルを使うことで、

  • 酸化ダメージを回避し
  • 髪のツヤと手触りを長くキープできます。

あなたの毎日のケアが、未来の美髪をつくります。正しい知識で、後悔のないスタイリングを楽しんでくださいね。

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参考文献

  1. Rahman, M. M., Ali, M. Y., & Khatun, M. A. (2014).
    Thermal degradation of oils: a comparative study.
    Journal of the Bangladesh Chemical Society, 27(2), 129–137.
  2. Rogers, G. E. (2004).
    Hair follicle differentiation and regulation.
    International Journal of Developmental Biology, 48(2–3), 163–172.
  3. Draelos, Z. D. (2010).
    Shampoos, conditioners, and camouflage techniques.
    Dermatologic Clinics, 28(3), 577–586.
  4. Khumalo, N. P., et al. (2000).
    Thermal styling and hair shaft damage: a review.
    Journal of the American Academy of Dermatology, 42(2), 233–239.

※本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の髪質や製品特性に応じた判断は専門家にご相談ください。

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