非認知能力の粘り強さ(グリット)を測定するチェックリストを紹介!科学的に子供の非認知能力を測ろう!

子育ての科学

こんにちは、薬剤師ともです。

子どもの成長を見守る中で、親として「もっと成長をサポートしたい」「どうすれば子どもの力を引き出せるのか?」と悩む瞬間は多いものです。
特に、学校の成績やIQでは測れない「非認知能力」に関する悩みは深刻です。
その中でも、目標に対して粘り強く努力し続ける力、いわゆる「グリット」は、人生の成功において非常に重要な要素として注目されています。
しかし、グリットをどう測り、どのように育てていくかを実践する方法が分からないという声も少なくありません。

この記事では、家庭で実践できる「グリット」の測定方法と、それを日々の子育てにどう活かしていくかを紹介します。
これを読むことで、子どもの成長に必要な力を育む手助けができるようになるでしょう。


【このブログを読むメリット】

  1. 家庭でできる「グリット」の測定方法がわかる
    具体的なチェックリストを使って、子どものグリットを測定し、現在の力を把握できるようになります。
  2. グリットを育むための日常的なアプローチが理解できる
    子どもの挑戦をどうサポートすべきか、具体的な育成法を家庭で実践できる方法を学べます。
  3. 非認知能力を育てることで、長期的な成功をサポートできる
    小さな努力が大きな成果に繋がることを子どもに実感させ、目標達成に向けた意欲を育てる方法を知ることができます。

グリット(粘り強さ)の重要性とは?

グリットとは、目標達成のために、情熱を持ち続け、失敗や困難に屈せず努力を続ける力です。
学力やスポーツの成績に直結するだけでなく、人生全体における成功や幸せを形作る重要な要素とされています。
特に、現代の競争社会においては、この「粘り強さ」が成功に大きな影響を与えることが研究でも明らかになっています。


Children and Adults用グリット尺度(GSCA)とは?

Children and Adults用グリット尺度(GSCA)は、子どもの粘り強さを測るための12項目からなる評価ツールです。
この尺度は、情熱と粘り強さの2つの因子を評価し、子どもがどれだけ目標に対して一貫して努力し続けることができるかを測定します。
家庭でもこのチェックリストを使って、子どもの取り組み方を観察し、サポートすることができます


家庭で使える!12項目チェックリスト

以下に、GSCAに基づいた12項目を紹介します。
親として、これらの項目を日常生活でどのように観察し、子どもにどのようにサポートできるかを考えてみましょう。

1. 目標に向かって長期間努力することができる

  • 子どもが長期的な目標に向かって一貫して取り組んでいるかを見守りましょう。

2. 一度決めた目標に対して情熱を持ち続ける

  • 目標に対する情熱が続いているか、子どもに聞いてみてください。目標達成のためにどれくらい努力しているかを話し合う時間を作りましょう。

3. 困難に直面しても目標を諦めない

  • 困難に直面した際、子どもがどう対処しているかを観察し、挫折を乗り越える方法を一緒に考えます。

4. 目標を達成するために計画的に行動する

  • 目標を達成するために、具体的な計画を立ててそれに従って行動できているかを確認します。毎日少しずつ進めるようサポートします。

5. 失敗を恐れず、そこから学ぼうとする

  • 失敗したときにどう感じ、どう学びを得ているかを子どもと話し合い、次に活かせるように導きましょう。

6. 自分のペースで着実に前進する

  • 子どもが焦らずに自分のペースで努力しているかを見守り、進捗を褒めます。競争心よりも、自分自身の成長を大切にするよう促します。

7. 挑戦的な状況に対して自信を持って取り組む

  • 難しい課題や挑戦的な状況に対して、子どもがどれだけ自信を持って取り組んでいるかを確認します。自信を育てる言葉掛けを行いましょう。

8. 失敗を他人のせいにしない

  • 失敗したときに他人を責めるのではなく、自己責任で取り組んでいるかを観察し、自分の行動に責任を持つ重要性を教えます。

9. 継続的に改善しようと努力する

  • どんな小さな改善でも、子どもがそれに努力しているかをチェックし、その努力を認めて褒めます。

10. 大きな目標に向かって、小さな目標を設定して取り組む

  • 大きな目標に向けて小さな目標を設定し、それを一つずつ達成していくことをサポートします。小さな成功体験を積み重ねることが重要です。

11. 困難な状況でも冷静に考え、行動できる

  • 困難な状況に直面したとき、冷静に判断して行動できるかを見守り、その場面にどう対処するかを一緒に考えます。

12. 他人の成功を祝うことができる

  • 他の子どもの成功を喜び、協力や共感の大切さを教えます。子どもにとって大切なのは、他人の成功を喜べる心を持つことです。

チェックリストの使い方と実践方法

この12項目のチェックリストは、日々の子どもの行動を観察し、その成長を支援するために使います。チェックリストを使って、どの項目ができているか、どの項目を改善すべきかを確認することが重要です。

GSCAの評価方法について、具体的な得点基準を示すために、以下のように解釈・活用できます。
各項目に対して、以下の5段階評価を使って点数を付けます。

【5段階評価】

  • 1点: まったく当てはまらない
  • 2点: あまり当てはまらない
  • 3点: どちらとも言えない
  • 4点: かなり当てはまる
  • 5点: 非常に当てはまる

このように各項目に対して評価を行い、その得点を合計することで、子どものグリットのレベルを把握することができます。

【得点範囲と解釈】

総得点の計算:

  • GSCAは12項目あるので、各項目が最大5点、最小1点の場合、総得点は12~60点の範囲になります。

解釈の目安:

  • 12~24点(低いグリットレベル):
    • 子どもは目標達成のための粘り強さや情熱が不足している可能性があります。
      このスコア帯に該当する子どもは、目標に対して興味を失いやすく、困難に直面したときに諦めがちです。
      家庭での支援が重要です。具体的な小さな目標を設定し、達成することで成功体験を積ませると良いでしょう。
  • 25~39点(中程度のグリットレベル):
    • 子どもは目標に対してある程度の努力をしているものの、時折困難に直面したときに諦めることがあります。
      グリットを高めるためには、失敗から学ぶ力や、自己改善のための努力を強化する必要があります。
      小さな挑戦を乗り越えさせることで、次第に粘り強さが育まれるでしょう。
  • 40~54点(高いグリットレベル):
    • 子どもは目標達成に対して高い情熱を持っており、困難にも強い態度で取り組むことができます。目標に対して一貫した努力を続ける姿勢が見られます。引き続き、目標達成に向けた計画をサポートし、成功をさらに強化することが求められます。
  • 55~60点(非常に高いグリットレベル):
    • 子どもは粘り強さ、情熱、計画的な行動において非常に高いレベルに達しています。
      高いグリットを持っており、目標達成に対して強い意志を持っています。
      このレベルの子どもは、複雑で長期的な目標にも粘り強く取り組むことができます。さ
      らに高い成長を促すためには、挑戦的な課題を与えることが重要です。

【活用方法】

  • 定期的に評価する:
    親は定期的にこの評価を実施することで、子どもの成長を追跡できます。特に低得点の項目については、どの部分が改善すべきかを考え、日常的にサポートを強化することが重要です。
  • 具体的なフィードバックを提供する:
    チェックリストを使って得られたスコアに基づき、子どもに具体的なフィードバックを与えます。例えば、「目標に向かって長期間努力することができているね」と褒める一方で、「困難に直面したときにもう少し粘り強くできるようにしよう」といった改善点を伝えることができます。
  • 改善策の提案:
    • 低得点の項目については、具体的な改善策を考えて実践します。
      たとえば、目標設定や計画作りのサポート、失敗を学びに変える方法を一緒に考えるなどが挙げられます。

この評価方法により、GSCAを家庭で使って、子どものグリットを測定し、改善が必要な部分を特定することができます。
また、得点に応じて家庭内でのサポート方法を変えることで、子どもの粘り強さを育む手助けになります。


まとめ:グリットを育むために親ができること

子どもがグリットを身につけるためには、親のサポートが欠かせません。
チェックリストを使い、日々の努力や挑戦を認め、フィードバックを与えることが大切です。子どもに粘り強さを育てるために、親としてできることを実践していきましょう。

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