こんにちは、薬剤師のともです。
「飲むコラーゲンで肌がぷるぷるになるって本当?」「美肌サプリを続けているけど、実際に効果あるの?」
そんな疑問を持っている女性は、きっと少なくないはずです。
SNSやテレビCMでもよく目にする“飲む美容液”とも言われるコラーゲンサプリ。実は、近年になって国内外で本格的な研究が進み、科学的にどこまで効果があるのかが少しずつ明らかになってきました。
この記事では、「コラーゲンサプリって実際どうなの?」という疑問に、国内外のエビデンスをもとにやさしく、わかりやすく、そして正直に答えていきます。
最後には「美容のためにコラーゲンサプリを飲み続けるべきか?」という大切な結論にも触れますので、ぜひ最後までお付き合いください。
そもそもコラーゲンってなに?
コラーゲンは私たちの皮膚、骨、関節、血管などに含まれる重要なたんぱく質で、特に皮膚の真皮では約70%を占めています。肌のハリや弾力を保つために欠かせない存在で、年齢とともに体内での合成量は減っていきます。
このため「減っていくコラーゲンを補えば、美肌が保てるのでは?」という発想で生まれたのがコラーゲンサプリやドリンクです。
飲んだコラーゲンはどこに行く?吸収されるの?
「口から摂ったコラーゲンがそのまま肌に届く」というのは、残念ながら少し誤解です。
体内に入ったコラーゲンは一度分解され、アミノ酸やペプチドとして小腸から吸収されます。研究では、これらの特定のペプチドが血中に入り、皮膚の細胞に働きかける可能性があることも示されています。
つまり、全く意味がないとは言えませんが、「飲んだコラーゲンが肌になる」という単純な話でもないというのが、現在の科学的な理解です。

国内外の研究から見えた“コラーゲンの肌効果”とは
1. 肌の保湿や弾力性を高める効果はあるのか?
2023年に発表された大規模研究のまとめ(合計1,721人の臨床試験データを統合)では、コラーゲンサプリを継続摂取した人たちの皮膚の水分量や弾力性が改善したと報告されています。
また、韓国で実施された研究(Kim et al., 2018)では、低分子コラーゲン1gを12週間摂取した結果、しわの深さが軽減され、肌の弾力が一部改善したという報告も。
一方、日本人女性を対象とした2021年の研究(Miyanagaら)では、コラーゲンの摂取によって肌の保湿量は有意に増加したものの、弾力性やしわへの明確な改善は確認されなかったとするデータもありました。
このように、“水分量は改善されるが、しわや弾力への効果は研究により差がある”というのが現状です。
2. 真皮中のコラーゲン量は増える?
フランスの研究者Asserinら(2015)は、40〜65歳の女性に10gのコラーゲンを8週間摂取させたところ、真皮中のコラーゲン密度が増加し、水分量や弾力性も改善されたと報告しました。
この結果は期待が持てる一方で、「どの製品のコラーゲンを使ったか」「被験者の生活習慣や肌状態」などによって結果にばらつきが出るのも事実です。
コラーゲンで髪もキレイになるの?
コラーゲンは髪の毛そのものの主成分ではありませんが、毛包(もうほう)や頭皮の構造に関連しています。
2024年に報告された基礎研究では、コラーゲンペプチドが毛根の幹細胞に働きかけ、毛の成長をサポートする可能性が示唆されました(Pappelbaum et al., 2024)。
ただし、これは試験管内での実験であり、人を対象とした臨床試験ではありません。現時点で「コラーゲンで髪が増える・太くなる」といった明確な証拠はありません。
ここに注意!コラーゲン効果の“限界”と“バイアス”
2021年の報告では、製薬会社などから資金提供を受けた研究では効果が誇張されて報告される傾向があることが指摘されています(Liu et al., 2021)。
また、効果があるとされた研究でも、摂取量(1〜10g/日)、期間(4〜12週間)、ペプチドの種類(魚由来・豚由来など)、被験者の年齢や肌状態が大きく異なり、単純に「このサプリを飲めば誰でも美肌になる」とは言い切れないのが実情です。
筆者の結論:効果は”ゼロ”ではないが、確証もない
ここまでのデータを総合すると、
- 飲むコラーゲンで肌の保湿やコラーゲン密度が改善する可能性はある
- ただし、しわや弾力性の改善は限定的で、明確な効果はまだはっきりしていない
- 髪の毛への効果については臨床的な根拠はほぼない
というのが、私の率直な結論です。
コラーゲンサプリは“絶対効く”ものではありません。にもかかわらず、「1週間でぷるぷる美肌に!」「飲むだけで10歳若返る」といった広告表現を信じすぎるのは要注意です。

とはいえ、補助的に使うのはアリ!
コラーゲンはたんぱく質の一種であり、体に害はありません。安全性は高く、過剰摂取での副作用報告もほとんどありません(ただしアレルギー体質の人は注意)。
つまり「これ1本で美肌に!」と過信するのではなく、
- 栄養バランスのとれた食事
- 紫外線対策
- 質の良い睡眠
といった基本的な美容習慣の“補助アイテム”として活用するのがベターです。
まとめ:コラーゲンサプリ、試す価値は?
- 科学的には、水分量やコラーゲン密度の改善は一定のデータがある
- しわや髪の毛などへの効果は未確立
- 過度な期待や高額な製品には注意が必要
「肌にいいって聞いたからなんとなく続けてる…」という方も、
“本当に自分に必要か?”
“他のケア方法の方が優先順位が高くないか?”
と、一度立ち止まって考えるきっかけになれば嬉しいです。

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参考文献
- de Miranda, R. B., et al. (2023). Journal of Cosmetic Dermatology
- Kim, D.-U., et al. (2018). Nutrients
- Asserin, J., et al. (2015). Journal of Cosmetic Dermatology
- Miyanaga, N., et al. (2021). J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo)
- Liu, A. (2021). Nutrients
- Pappelbaum, R., et al. (2024). Experimental Dermatology