こんにちは、薬剤師のともです。
スマートフォンやパソコン、LEDライトなど、現代の生活に欠かせないブルーライト。
「目に悪い」とはよく言われますが、実はお肌にも悪影響があることが、最新の研究で明らかになってきました。
「もしかして、スマホの光で日焼けする?」「老け顔の原因になってるかも…?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなブルーライトの肌への影響について、医学論文をもとに解説していきます。
この記事でわかること
- ブルーライトは本当に「日焼け」の原因になるのか?
- 紫外線とブルーライトの違いとは?
- ブルーライトが肌の老化やシミにどう関わるのか?
- 今すぐできる!ブルーライト対策とおすすめのケア方法
ブルーライトってなに?太陽にもスマホにも含まれる光
ブルーライトは、可視光線の中でも波長が短く、エネルギーの高い「青色光」のこと。具体的には約400〜500nmの波長を持ちます。
実はブルーライトの大半は「太陽の光」に含まれています。私たちが1日の中で最も多く浴びているのも、太陽由来のブルーライトなんです。
一方で、スマートフォンやPC、LED照明などの人工光源にもブルーライトは含まれており、現代人は日中だけでなく、夜間もブルーライトにさらされがち。

紫外線とどう違う?ブルーライトの意外な落とし穴
「日焼け」=「紫外線(UV)」というイメージが強いですが、ブルーライトもまた肌に影響を及ぼすことがわかってきました。
紫外線は、UVA・UVB・UVCと分類され、特にUVBは皮膚細胞のDNAを傷つけ、日焼けやシミ、皮膚がんの原因となります。
一方ブルーライトは、DNAを直接傷つける力は弱いものの、肌に吸収されると活性酸素(ROS)を大量に発生させます。
この酸化ストレスがメラニン生成を促し、色素沈着=シミ・くすみの原因になるのです。
最新研究が示す「ブルーライト日焼け」の真実
フランスの研究グループによる研究では、ブルーライトを肌に照射したところ、明確な色素沈着(日焼け)が生じ、しかもその色素沈着は数ヶ月持続したと報告されています(Duteil et al., 2014)。
さらに、紫外線による色素沈着と比べても、ブルーライトによるものの方が濃く長く残ったというから驚きです。
とくに、肌タイプがIII〜VI(やや色白〜色黒)の人は、ブルーライトによる色素沈着が起こりやすいとされており、日本人も要注意。
「なんだかシミが増えてきた…」という方、それ、もしかしたらスマホや照明の光のせいかもしれません。
シミ・老化・炎症…ブルーライトが肌に与える3つの悪影響
ここでは、美容の大敵である「シミ・老化・炎症」の3つにしぼって、ブルーライトの影響をわかりやすく解説します。
① シミ・くすみが濃くなる(色素沈着)
ブルーライトは、肌の奥にある「メラノサイト」と呼ばれる細胞を刺激し、メラニンという黒い色素をつくり出します。
本来、メラニンは紫外線から肌を守るバリアのようなもの。でも、ブルーライトを浴び続けるとこの防御反応が過剰になり、肌表面に色素沈着=シミやくすみが出やすくなるんです。

② 肌がたるみやすくなる(光老化)
ブルーライトは肌に当たると、「活性酸素」という肌を傷つける分子を発生させます。
これが真皮にあるコラーゲンやエラスチンといったハリのもとを壊し、たるみ・ほうれい線・小ジワといった「老け見え」を加速させる原因に。
これはまさに「光老化」と呼ばれる現象で、紫外線による老化と同じようなことが、ブルーライトでも起こっているんです。
③ 肌が荒れやすくなる(慢性炎症)
活性酸素が増えすぎると、肌のバリア機能もダメージを受けやすくなります。
その結果、乾燥・赤み・ピリピリ感といった肌トラブルが出やすくなり、ちょっとした刺激でも敏感に反応してしまうように…。
まさに「なんとなく不安定な肌」「治りにくい肌荒れ」の正体がここにあります。肌のご機嫌がなかなか戻らない方は、ブルーライトによる炎症の影響を疑ってみてもよいかもしれません。
スマホの光で日焼けするって本当?
ここで気になるのが「スマホやPCで肌が焼けるの?」という疑問。
結論から言うと、太陽光に比べると圧倒的に弱いとはいえ、慢性的に浴び続けることで“光老化”や“シミ”のリスクを高める可能性があります。
特に顔に近い距離で使用するスマホや、夜間の照明などは、
- 肌のメラニン生成を活性化
- 睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を妨げ、肌の修復機能が低下
といったダブルの悪影響を及ぼすおそれがあります。
今すぐ始めたい!ブルーライト対策7選

① ブルーライトカット効果のある日焼け止めを使う
従来のUVカットに加えて、酸化鉄などを含んだブルーライト防御機能付きの日焼け止めを選びましょう。
② トーンアップ下地やファンデーションも有効
色素沈着を防ぐには、物理的に光を反射・散乱させるベースメイクが有効です。
③ スマホやPCの「ナイトモード」をONに
画面のブルーライトを低減する「ナイトモード」「ダークモード」を活用。目にも肌にも優しい設定です。
④ LED照明を暖色系に変える
部屋の照明も見直しを。青白い光ではなく、オレンジ系の暖色LEDに変えるだけでも、ブルーライト曝露を大きく減らせます。
⑤ 就寝前2時間はデジタル断ち
肌の修復は夜中に行われます。寝る前のスマホ習慣はできるだけ控えましょう。
⑥ 抗酸化成分を含むスキンケアを取り入れる
ビタミンC・E、ナイアシンアミドなど活性酸素を抑える成分を含む美容液やクリームでケアを。
⑦ 食事で内側からもサポート
ブルーベリーや緑黄色野菜、ビタミンC・E、ポリフェノールなどを摂ることで、体の内側からも酸化ストレスに対抗できます。
肝斑や色素沈着が気になる方は特に注意!
シミ・肝斑のある方、治療中の方は特にブルーライト対策が重要です。
近年の皮膚科学会でも、色素沈着が気になる人には「ブルーライト対策」も必須とされており、トラネキサム酸内服や外用に加えて、鉄酸化物入りのサンスクリーンの併用が推奨されています。
まとめ
ブルーライトは、紫外線ほど強いエネルギーはありませんが、慢性的な曝露によって、
- 色素沈着(くすみ・シミ)
- 光老化(しわ・たるみ)
- 酸化ストレスによる炎症
など、美容面でも無視できないリスクがあります。
日中の紫外線対策とあわせて、夜間のブルーライト対策もぜひ意識してみてくださいね。
肌を守る一歩は、今日の習慣から。薬剤師ともでした!

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参考文献
- Mahmoud BH, et al. J Invest Dermatol. 2010;130(8):2092-7.
- Duteil L, et al. Pigment Cell Melanoma Res. 2014;27(5):822-6.
- Nakashima Y, et al. Free Radic Biol Med. 2017;108:300-310.
- Coats JG, et al. J Cosmet Dermatol. 2021;20(3):714-717.
- Lee AY. Pigmentary Disorders. 2015;2(10):12.
- Shiseido Co. Press Release, 2020.
- Kumari P, et al. J Cosmet Dermatol. 2023 (Review).
- Oplas W, et al. J Dermatol Sci Tech. 2024 (News).
- Dermatology Seattle, “Blue Light & Your Skin,” 2023.