ブルーライトは本当に危険?目と睡眠への悪影響を医学論文で薬剤師が解説

健康の科学

こんにちは。薬剤師のともです。

前回はスマートフォンやタブレット、パソコンから発せられる”ブルーライト”の肌に与える影響について解説しました。

今回はブルーライトの睡眠や眼精疲労などの健康への影響を科学的に解説していきます。

最近では、子どもを寝かしつけた後にスマホでSNSや動画を見る方も多いのではないでしょうか?
でも「寝る前のスマホが眠りを妨げる」と聞いたことがある方も多いはず。

この記事では、ブルーライトが本当に健康に悪影響を及ぼすのか、どんなリスクがあるのか、そしてその対策について、医学論文や専門家の見解をもとに、わかりやすくご紹介します。


この記事でわかること

  • ブルーライトとは何か?スマホやLEDからの影響の仕組み
  • 睡眠とブルーライトの科学的な関係(メラトニン分泌と体内時計)
  • 目の疲れや白内障などの目の病気との関係性
  • 子育て世代ができるブルーライト対策(夜間モードや眼鏡など)

ブルーライトとは?私たちの身の回りにある青い光の正体

ブルーライトとは、波長がおよそ380~500ナノメートルの”青色の光”。可視光線の中で最もエネルギーが強く、太陽光はもちろん、スマートフォンやLED照明、パソコンの画面にも多く含まれています。

昼間に浴びるブルーライトには、私たちを目覚めさせ、集中力を高めるというメリットもあります。ただし問題は、”夜間にブルーライトを浴びること”。
この時間帯にブルーライトを浴びると、脳が”今は昼”と勘違いしてしまい、体内時計が狂いやすくなるのです。


ブルーライトと睡眠の関係:科学が証明した”眠れない原因”

メラトニン分泌が抑えられる

アメリカのハーバード大学の研究によると、夜にブルーライトを浴びると、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が強く抑えられ、入眠が遅くなることが明らかになりました。

さらに、電子書籍端末などの光を6.5時間浴びた場合、体内時計が3時間も遅れるという結果も。

「たったスマホ1つでも、眠りのリズムが3時間ズレる可能性がある」

このメラトニンは、ただ眠気を起こすだけでなく、体温や血圧、ホルモン分泌のリズムにも関わっており、子どもにも大人にも非常に重要なホルモンです。


目への影響は?ブルーライトで視力が落ちるって本当?

一時的な”眼精疲労”はあるが…

スマホを長時間見ることで目が疲れる、かすむ、痛くなる――これらは“デジタル眼症候群”と呼ばれています。その原因の1つがブルーライトです。

ブルーライトは網膜上で散乱しやすく、まぶしさやピントの調整が難しくなり、結果として目が疲れやすくなるのです。また、瞬きが減ることでドライアイにもなりやすいです。

ただし、これらは”一時的な不快感”であり、ブルーライト自体が視力を落とすという確かな証拠は今のところありません


白内障や黄斑変性のリスクは?

動物実験や細胞実験では、ブルーライトが酸化ストレスを引き起こし、白内障や網膜の障害を招く可能性が示唆されています。

しかし、人間の日常的なスマホ使用程度のブルーライトでこれらの病気になるという確かな証拠は、まだ確認されていません。

アメリカ眼科学会やハーバード大学の眼科専門家も、ブルーライトによる網膜へのダメージを”気にしすぎないでよい”と述べています。

「ブルーライトで目が悪くなる」というのは、現時点では”過度な心配”と言えるでしょう。


子育て世代が今できるブルーライト対策とは?

1)就寝1時間前はスマホを見ない

寝る直前までスマホを見ていると、入眠が遅れるだけでなく、眠りの質が浅くなり、翌朝の疲労感や集中力低下にもつながります。

親が寝不足だと、子どもにもイライラが伝わってしまうことも。少なくとも“寝る1時間前はスマホやタブレットを見ない”ようにしましょう。

2)夜間モードや画面の明るさ調整

スマホやパソコンには”Night Shift(夜間モード)”というブルーライトを抑える機能が搭載されています。画面の色味がオレンジ寄りになり、メラトニンの抑制を軽減してくれます。

ただし、ブルーライトが減っても、画面の明るさそのものが強すぎれば睡眠への影響は残ります。“画面の明るさも下げる”ことがポイントです。

3)ブルーライトカット眼鏡の使用

夜にスマホを見る必要がある場合は、ブルーライトカット眼鏡を使うのも1つの方法です。特にメラトニンの分泌保護には一定の効果があるという研究もあります。

ただし、眼精疲労や視力保護については”効果が限定的”との報告もあるため、”睡眠対策としての使用”がメインと考えるのが良いでしょう。

4)日中の屋外活動も大切

朝日や自然光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜の入眠もしやすくなります。できるだけ日中に外へ出て、自然な光を取り入れる生活を心がけましょう。


【まとめ】ブルーライト、怖がりすぎず上手に付き合おう

ここまでご紹介してきたように、ブルーライトには“睡眠の質を下げるリスク”が明確に存在しますが、“目の病気になる”といった心配は過度に意識しなくても大丈夫です

スマホやパソコンを使わない生活は現実的ではありません。だからこそ、

「ブルーライトは睡眠に悪い。でも目の病気についてはそこまで心配しなくてOK!」

と理解して、正しい対策を取り入れることが大切です。
特に子育て中の方は、夜のスマホ時間を少し見直すだけでも、睡眠の質や翌朝のコンディションが大きく変わりますよ。

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【参考文献】

  1. Harvard Health Publishing. “Blue light has a dark side.” https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/blue-light-has-a-dark-side
  2. Chang AM et al. (2015). “Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness.” PNAS.
  3. 厚生労働省 「健康づくりのための睡眠指針(2023年改訂案)」
  4. The American Academy of Ophthalmology (AAO). “Blue Light and Digital Eye Strain.”
  5. NEI(米国国立眼科研究所)公式サイト情報 https://www.nei.nih.gov/
  6. Optometry and Vision Science. 2021年 “Blue light exposure and retinal health”

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