蜂蜜の種類による効果の違いとは?薬剤師が解説します

美容の科学

こんにちは、薬剤師のともです。
「甘いものは我慢しなきゃ」と思いながらも、やっぱり何か甘いものが欲しくなる…。
そんなとき、蜂蜜(はちみつ)をうまく取り入れることで、ストレスなく続けられるダイエットができるかもしれません。

でも、蜂蜜って実は種類によって味も香りも、さらには体への効果も違うってご存じでしたか?
本記事では、蜂蜜の種類やそれぞれの特徴、そしてダイエットや美容・健康にどのような効果があるのかを、薬剤師の視点からわかりやすく解説します。

このブログを読む3つのメリット

  1. “本当に選ぶべき蜂蜜”がわかる!
     「純粋」「加糖」「単花蜜」など、聞きなれない蜂蜜の分類や違いを薬剤師がやさしく解説。美容やダイエットに合った蜂蜜の選び方がすぐに実践できます。
  2. 甘いものを我慢しないダイエットができる!
     蜂蜜の血糖値への影響や満腹感を活かした「太りにくい甘味」としての使い方を紹介。砂糖との置き換えで、無理なく続けられる食習慣を提案しています。
  3. 腸活や美容にもうれしい“+αの効果”を知れる!
     蜂蜜に含まれるプレバイオティクス成分や抗酸化作用など、腸内環境や肌へのサポートについても丁寧に紹介。「美味しいのに体にいい」理由が科学的にわかります。

蜂蜜の種類とそれぞれの特徴・違いについて

まずは、蜂蜜を理解するための基本から。
蜂蜜には大きく分けて3つの分類があります。
加工の度合いや添加物の有無によって、「純粋はちみつ」「精製はちみつ」「加糖はちみつ」と呼ばれています。

純粋はちみつ

最も自然に近い蜂蜜です。
ミツバチが集めた蜜を、最低限の加熱やろ過でそのまま瓶詰めにしたもの。香りや味に深みがあり、花の風味がそのまま残っているのが特徴です。
栄養素としては、酵素やビタミン、ポリフェノールなどがきちんと残っており、健康や美容目的で選ぶなら断然このタイプがおすすめです。

精製はちみつ

蜂蜜から色や香りを取り除いたもの。
加工食品に使いやすいように無味無臭に近づけた蜂蜜で、栄養素もほとんど失われているため、「甘味料」としての役割が中心です。
スーパーなどで単体販売されることは少なく、飲料や菓子類に含まれている場合が多いです。

加糖はちみつ

蜂蜜に水あめやブドウ糖などの甘味料を加えたものです。
一見すると本物の蜂蜜のようですが、実は蜂蜜の割合が半分ほどで、あとは糖分で“かさまし”されていることも。
味は甘いですが、栄養価や酵素、抗酸化成分などは大きく減少しているため、健康を意識するなら避けたほうが無難です。


次に紹介したいのが、蜜源の違いによる「単花蜜」と「百花蜜」の分類です。

単花蜜(モノフローラルハニー)

アカシアやレンゲ、クローバーなど、特定の花から集められた蜂蜜のことを指します。
採取する花の種類が明確なので、味や香りが安定しており、風味の個性が際立ちます。
例えば、アカシアは上品な甘さでクセがなく、レンゲはまろやかなコクが特徴です。
特定の花の蜜を狙って集めるには、花の開花時期や立地に合わせて巣箱を移動させる必要があるため、単花蜜は手間もコストもかかる高級タイプと言えます。

百花蜜(ポリフローラルハニー)

様々な花の蜜が自然にブレンドされた蜂蜜です。
ミツバチが自由に飛び回って採集した蜜を集めているため、風味は年や場所によって異なり、その“一期一会の味わい”が魅力です。
味に奥行きがあり、やや濃厚で“自然のまま”の風味が感じられます。価格も比較的手ごろなので、日常使いには最適です。

次にどの花から採れたかです。これにより驚くほど風味も栄養価も変わります。
ここでは代表的な単花蜜(1種類の花から採れた蜂蜜)を中心に、特徴を詳しくご紹介します。
自分の目的や好みに合った蜂蜜選びの参考にしてください。


1. アカシア蜂蜜(ニセアカシア)

淡い黄金色で、クセのない上品な甘さが魅力。
さらりとした口当たりで、蜂蜜初心者でも食べやすいと人気です。果糖の割合が高いため結晶しにくく、血糖値が上がりにくい(低GI)傾向があるとされ、ダイエット中にもおすすめ。
ヨーグルトやハーブティーにもよく合います。


2. レンゲ蜂蜜(レンゲソウ)

やさしい甘さとまろやかなコクが特徴で、日本人にとって最もなじみ深い蜂蜜のひとつ。
淡い琥珀色で上品な香りがあり、和食にも使いやすいタイプです。
近年レンゲ畑の減少により、国産レンゲ蜂蜜は希少で高価になっています。
ブドウ糖が多く含まれ、白く結晶しやすいのも特徴。


3. ソバ蜂蜜(そばの花)

黒蜜のような濃い色と強い香りが特徴の“通好み”の蜂蜜。
少し苦味や渋みもあるため好みは分かれますが、ポリフェノールや鉄分、マグネシウムなどのミネラルが豊富で、抗酸化力が非常に高いことで知られています。
特に貧血気味の方や、エイジングケアを意識する方にはおすすめ。


4. クローバー蜂蜜(シロツメクサ)

世界的に生産量の多い代表的な蜂蜜。
明るい色合いでクセが少なく、ほんのり草原のような香りが感じられます。
甘さはややしっかりしていますが後味はすっきり。
毎日の料理や飲み物に使いやすく、初めての蜂蜜選びにもぴったりの万能型です。


5. オレンジ蜂蜜(みかんの花)

柑橘系の花から採れる蜂蜜で、さわやかなフルーティーな香りが特徴。
甘さの中にほんのり酸味があり、後味が軽やかです。
ヨーグルトやクリームチーズとの相性抜群で、朝のスムージーにもぴったり。
香りが際立つため、リラックス効果を期待してハーブティーに使う人も。


6. ラベンダー蜂蜜

淡い紫色のラベンダーの花から採れる蜂蜜は、華やかでリラックス感のある香りが魅力。
香りは強すぎず、優しい甘さとのバランスが取れています。
抗酸化物質が豊富とされており、美容意識の高い女性に人気。
紅茶にひとさじ加えると贅沢な気分に。


7. ユーカリ蜂蜜

やや濃い琥珀色で、ハーブのような独特の香りが特徴的。
ミントに似た清涼感があり、喉のイガイガや風邪気味のときに好まれます。
抗菌・抗炎症作用が強いとされ、自然療法的に“喉ケア”に使われることも多い蜂蜜です。


8. マヌカハニー(ニュージーランドのマヌカの木)

蜂蜜の中でも医療グレードの注目株として知られるのが、このマヌカハニーです。
濃い琥珀色で、薬草のような独特の風味と粘度の高さが特徴。
最大の特長は、MGO(メチルグリオキサール)という成分に由来する強力な抗菌作用。
ピロリ菌や虫歯菌への抑制作用も報告されており、喉のケアや腸活、口内環境改善など“内側からの健康維持”に注目されています。

価格は高めですが、ダイエット中の体調管理や美肌をサポートする目的で取り入れる価値は十分にあります。
選ぶ際は「UMF」「MGO」などの活性度指標が明記された本物を選ぶことが大切です。

蜂蜜にダイエット効果はあるの?

蜂蜜は「自然由来の甘味料だから太りにくい」「寝る前に食べると痩せる」といった話を聞いたことがある方も多いかもしれません。
ですが、実際のところ、蜂蜜に“直接的なダイエット効果”があるかどうかについては、まだ科学的な証拠(エビデンス)は十分ではありません

人間を対象にした信頼性の高い臨床試験は少なく、あったとしても試験期間が短かったり、対象者の数が限られていたりと、結果の信頼性は高くないものが多いのが現状です。

とはいえ、興味深い研究は少しずつ増えてきています。

たとえば、2022年に発表された国際的な論文では、蜂蜜の摂取と肥満に関するヒト試験・動物実験の両方がまとめられています。
この中で、動物実験では比較的一貫して「蜂蜜は体重や脂肪の蓄積を抑える」という結果が得られていることが紹介されており、将来的な可能性には注目が集まっています。

具体的には、ラットに通常の砂糖(ショ糖)を与えたグループと、同じカロリー量の蜂蜜を与えたグループを比較した研究で、蜂蜜グループの方が体重増加が緩やかで、内臓脂肪の蓄積も少なかったという報告があります。
また、蜂蜜に含まれるポリフェノールやフラボノイドが脂肪細胞の炎症を抑制したり、脂質代謝を促進する可能性も指摘されています。

一方で、人間を対象にした臨床試験では、たとえば1日70gの蜂蜜を4週間摂取した結果、体重やBMI、血中中性脂肪(TG)などがわずかに減少したという報告もあります。
ただし、被験者数が少なく、食事内容や活動量などの影響を完全に除外できていないため、「蜂蜜を食べるだけで痩せる」とは言い切れません。

つまり現時点では、

  • 蜂蜜にはダイエットを“直接”促す作用は明確ではない
  • ただし、白砂糖の代わりに蜂蜜を使うことで、血糖値の急上昇を防いだり、摂取量が控えめで済むといった間接的メリットがある
  • 動物実験では脂肪蓄積の抑制が見られており、将来的な研究に期待が持てる

というのが、科学的に見た“蜂蜜とダイエット”の今の結論です。

そのため、蜂蜜を「痩せるための特効薬」のように期待するのではなく、甘いものを我慢しすぎず、自然な形で“置き換え”として取り入れるというスタンスが、現実的でおすすめです。

蜂蜜の上手な摂取法【ダイエット編】

ダイエット中に蜂蜜を取り入れるなら、摂取のタイミングや組み合わせを意識するとより効果的です。

まずおすすめなのは、朝食や運動前のタイミング。
蜂蜜に含まれるブドウ糖と果糖は即効性のあるエネルギー源なので、朝のスムージーやトーストにひとさじ加えると代謝アップにもつながります。

次に、蜂蜜は高たんぱくな食材と組み合わせるのが理想的。
ヨーグルト、ナッツ、チーズなどと一緒にとれば、血糖値の急上昇を抑えながら腹持ちもアップ
蜂蜜には、甘さだけでなく満腹感と腸内環境へのうれしい働きもあります。
とろりと濃厚な甘さで“満足感”が高く、ダイエット中の間食代わりに少量なめるだけでも、空腹感がやわらぐという声も多いです。

特におすすめなのが、ヨーグルトとの組み合わせ
蜂蜜の自然な甘さで美味しく満腹感が得られるだけでなく、腸にも嬉しい相乗効果が期待できます。
蜂蜜には少量ですがオリゴ糖やグルコン酸といった成分が含まれており、これらは腸内の善玉菌(ビフィズス菌など)のエサになって腸内環境を整える働きがあります。
さらに、蜂蜜自体にもわずかながら乳酸菌(ラクトバチルス属)が含まれていることが報告されており、発酵食品のような作用も期待されているのです。

また、蜂蜜には抗菌作用もあり、悪玉菌の増殖を抑える助けになることがわかっています。
実際に蜂蜜入りの経口補水液を与えた研究では、腸管の炎症を抑え、胃腸炎の回復を早めたという結果も報告されています。
WHOも、下痢症の子どもへの自然療法として蜂蜜を少量加えることを認めており、蜂蜜は腸にやさしい天然のサポート食として注目されています。

腸内環境の乱れは、便秘や肌荒れだけでなく、肥満や代謝の低下にもつながるとされています。だからこそ、蜂蜜を日々少しずつ取り入れることで、腸内環境を整えながら無理なく体調管理をサポートできるのです。甘くて美味しいのに、腸活にもダイエットにも役立つなんて、まさに一石二鳥ですね。

さらに、“濃い味タイプ”の蜂蜜――例えばソバ蜂蜜や百花蜜などを選べば、香りやコクで満足感が得られやすく、間食欲を自然にセーブできることも。

摂取量の目安としては、1日大さじ1杯(約64 kcal)までが理想です。
量を計らずに「なんとなく舐める」のは意外と過剰摂取になりがちなので、スプーンできちんと計って使うことがポイントです。


蜂蜜を摂るときの注意点

蜂蜜は自然由来の食品ですが、いくつかの注意点もあります。

まず最も大切なのが、1歳未満の赤ちゃんには絶対に与えてはいけないということ。
蜂蜜にはボツリヌス菌の芽胞が含まれる可能性があり、乳児の腸内では発芽して中毒を起こすリスクがあります(乳児ボツリヌス症)。

また、いくら体に良いとはいえ、カロリーは高め。大さじ1杯で約64 kcalと、決して“ゼロカロリー”ではありません。過剰に摂れば当然、体重増加にもつながります。

糖尿病やインスリン抵抗性のある方は、蜂蜜でも血糖が上がる可能性があるため、自己判断で摂りすぎるのは避け、医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。

さらに、初めて蜂蜜を食べる場合は、アレルギー(特に花粉・プロポリス由来)に注意しましょう。
心配な方はごく少量から試すのが安心です。

そして意外と見落とされがちなのが、「純粋はちみつ」と書かれていても、商品によっては高温処理されて酵素が壊れているケースもあるということ。
成分を活かしたいなら、「非加熱」や「Raw」などと明記されたものを選ぶとより効果的です。

まとめ|“甘さ”を賢く選べば、ダイエットはもっと楽しくなる

蜂蜜には、「純粋」「精製」「加糖」といった加工の違いや、「単花蜜」「百花蜜」といった蜜源の違い、さらには花の種類ごとの個性があります。
どれを選ぶかによって、味わいはもちろん、含まれる成分や香り、期待できる健康効果まで変わってくるのが蜂蜜の面白いところです。

ダイエット目的で蜂蜜を取り入れる場合、大切なのは以下の3つ。

  1. “純粋はちみつ”を選ぶこと(添加物や精製品を避ける)
  2. 白砂糖の代わりに置き換えること(“足す”のではなく“代える”)
  3. 摂取量を守ること(1日大さじ1杯を目安に)

現時点では、蜂蜜に“食べるだけで痩せる”といった明確なエビデンスはありません。
ですが、砂糖よりも血糖値の上昇が穏やかで、満足感が高く、栄養価もあるという点で、ダイエット中の「甘味の味方」になってくれるのは間違いありません。

そして何より、蜂蜜の自然な甘さと花の香りには、食べる喜びや心のゆとりを取り戻す力があります。食事制限に疲れたとき、ストレスで甘いものが欲しくなったとき、蜂蜜を賢く選べば、“我慢しすぎないダイエット”がきっと叶います。

あなたの毎日に、小さな“はちみつ習慣”を。
身体にも心にもやさしい甘さで、健やかな美しさを手に入れていきましょう。

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参考文献

  • Munir M, et al. The role of honey in obesity management: a systematic review. Nutrients. 2022.
  • Yaghoobi R, et al. Natural honey vs. sucrose on weight and blood lipids. J Med Food. 2008.
  • Cozma AI, et al. Effect of honey on cardiometabolic risk factors: a systematic review and meta-analysis. Nutr Rev. 2022.
  • 消費者庁「食品表示基準Q&A(蜂蜜類の表示)」2025年版
  • MyHoney公式ジャーナル「純粋はちみつ・加糖はちみつの違い」2023
  • Apimiodek Blog「各種蜂蜜のGI値と使い分け」2024
  • Verywell Health「蜂蜜とヨーグルトの組み合わせは腸活に有効」2024