猛暑の中、どれを飲めばいいの?意外と知らない水分補給の落とし穴
こんにちは、薬剤師ともです。
連日、体温を超えるような暑さが続いていますね。
汗が止まらず、ちょっと外に出るだけでもフラフラ……そんな時、ついコンビニでアクエリアスやOS-1に手を伸ばしていませんか?
でも実は、「どちらを選ぶべきか」には大きな違いがあります。
なぜなら、OS-1とアクエリアスは“用途”も“体への働き方”もまったく異なる飲み物だからです。
このブログでは、次のような疑問にわかりやすくお答えしていきます:
- OS-1とアクエリアス、どっちを選ぶべき?
- 普段から飲んでも大丈夫なのは?
- 体調が悪いとき、どちらが効果的?
正しく選んで、夏を元気に乗り切りましょう。
そもそも水分補給の目的は?「脱水」と「熱中症」の違いを正しく理解しよう
水分補給とひと口にいっても、「なぜ飲むのか」によって適切な飲み物は変わってきます。
ここでまず押さえておきたいのが、「脱水」と「熱中症」の違いです。
● 脱水症:体内の水分と電解質(塩分など)が失われた状態
夏場にかく大量の汗には、水だけでなくナトリウムやカリウムといった「電解質」も含まれています。
この電解質が失われると、筋肉がつったり、頭がぼーっとしたり、ひどい場合は意識障害に至ることも。
ただの水では補えない理由がここにあります。
● 熱中症:体温調節機能の破綻と脱水の複合状態
炎天下や高温多湿の環境下では、体温を下げるために大量の汗をかきます。
しかしそれが追いつかなくなると、体温が異常に上がり、脳や臓器にダメージを与えるのが熱中症です。
つまり、熱中症対策には「水+電解質」をすばやく補える飲み物が必要だということ。
そして、それを効率よく行えるのが「経口補水液(OS-1など)」や「スポーツドリンク(アクエリアスなど)」です。
でもこの2つ、実は似て非なるもの。次章では成分を比較しながらその違いを明らかにしていきます。
成分比較|OS-1とアクエリアスは何が違う?一覧表でチェック!
OS-1もアクエリアスも「水分と電解質を補給できる飲料」として知られていますが、成分を比べるとその設計思想は大きく異なります。
成分(100mlあたり) | OS-1(経口補水液) | アクエリアス(スポーツドリンク) |
---|
エネルギー | 約10kcal | 約19kcal |
ナトリウム | 約115mg | 約49mg |
カリウム | 約78mg | 約8mg |
糖質 | 約1.8g | 約4.7g |
(※2025年時点の製品データより)
ポイント①:ナトリウムとカリウム量が圧倒的に違う
OS-1は、ナトリウム・カリウムといった電解質がアクエリアスの2〜10倍も含まれています。
これは「医療的な補水」を目的として作られているためで、点滴と似た成分バランスが意識されています。
ポイント②:糖分が少なく、吸収効率が高いのはOS-1
アクエリアスは運動時のエネルギー補給も兼ねた設計なので糖分が高め。
一方、OS-1は糖分を最小限に抑えることで、体内への水分と電解質の吸収速度を最大化するよう調整されています。
ポイント③:浸透圧の違いが吸収スピードを左右する
浸透圧が低いほど、水分が腸から血中にすばやく吸収されます。
OS-1は人間の体液に近い「低浸透圧(270mOsm)」に調整されており、まさに「吸収効率を極限まで高めた飲料」と言えます。
日常的に飲むならどっち?飲用シーン別の選び方
同じ「水分補給」が目的でも、シーンによって飲むべき飲料は異なります。
ここでは、よくある状況ごとに OS-1とアクエリアスの適切な使い分け を紹介します。
● 日常の軽い運動や屋外活動:アクエリアスで十分
ランニングや部活、ガーデニングなど、軽く汗をかくレベルなら、エネルギー補給も兼ねたアクエリアスが適しています。
糖分と電解質のバランスが良く、味も飲みやすいため継続的な水分補給に向いています。
● 体調が悪いとき(発熱・下痢・食欲不振):OS-1を選ぶ
脱水の兆候がある時は、糖分が少なく吸収効率が高いOS-1が有効です。
とくに「発熱で汗をかいた」「下痢・嘔吐で水分がとれない」などの場合、病院でも推奨されることが多い補水飲料です。
● 高齢者や子どもの発熱・熱中症予防:OS-1を活用
自分でのどの渇きに気づきにくい高齢者や小児は、脱水に陥る前の補水が重要。
ただし、甘みが少ないので味の好みに合わせて工夫が必要です。
💡 豆知識:OS-1を「おいしく感じる」時は危険信号?
健康な状態で飲むと「しょっぱい」と感じるOS-1が、「おいしい」と思えたら、それは体が強い脱水状態にあるサインかもしれません。すぐに体を休めて、こまめに補水しましょう。
飲み方にも注意!効果を引き出す正しい使い方とは?
どちらの飲料を選んだとしても、「飲み方」に気をつけなければ効果が半減してしまいます。
✅ OS-1の正しい飲み方
- 一気に飲まずに、少量をこまめに摂取
- 冷たすぎない常温に近い温度で吸収をサポート
- 1日500ml程度が目安(体調次第で調整)
OS-1は「医療用」にも使われる成分設計です。
健常者が日常的に大量に飲むのは推奨されていません(電解質過剰となるおそれあり)。
✅ アクエリアスの注意点
- 甘くて飲みやすいが、糖分に注意(清涼飲料と同程度)
- 毎日飲む場合は「アクエリアスゼロ」なども検討
- 食事代わりやがぶ飲みには向かない
糖分の摂りすぎが気になる場合は、水で1:1に薄めて飲むなどの工夫もできます。
結局どっち?こんな時にはこれ!目的別おすすめまとめ
以下の表で、シーンに応じた選び方を整理しました。自分や家族の体調に合わせて、うまく使い分けましょう。
シーン・目的 | おすすめ飲料 | 理由 |
---|---|---|
日常の運動や汗をかいた後 | アクエリアス | 糖分と電解質をバランスよく補給できる |
軽い脱水のとき | OS-1 | 吸収効率が高く、すぐに補える |
発熱や下痢・嘔吐があるとき | OS-1 | 医療的な補水目的に適している |
子どもや高齢者の熱中症予防 | OS-1 | 自覚の乏しい脱水リスクをカバー |
毎日の水分補給 | 水、または薄めたアクエリアス | 糖分・塩分の摂りすぎを避けられる |
結び:正しい水分補給は、夏の体調管理の第一歩
OS-1もアクエリアスも、暑い時期の強い味方ですが、使い方や目的を間違えると逆効果になることもあります。
特にOS-1は「脱水が疑われるとき」に使う、“経口点滴”のような存在。
日常的な水分補給には、ミネラルウォーターや薄めたスポーツドリンクのほうが安全です。
のどが渇いた時には、すでに脱水が始まっていると言われています。
「喉が渇く前に飲む」という意識を持ち、この猛暑を無事に乗り越えましょう。

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参考文献・出典
Moritz ML, Ayus JC. “Prevention of hospital-acquired hyponatremia: a case for using isotonic saline.” Pediatrics. 2003.
大塚製薬工場「OS-1 製品情報」
https://www.os-1.jp/
アクエリアス公式サイト(日本コカ・コーラ)
https://www.aquarius-sports.jp/
厚生労働省「熱中症予防のための情報・注意点」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/necchuusho/index.html